**ソロモン王と主の約束**
主がソロモンに現れた夜、エルサレムの宮殿は深い静寂に包まれていた。金色の燭台がゆらめく中、ソロモンは祈りをささげ、心を静めて神の声を待っていた。すると突然、聖所が神の栄光で満たされ、かつて父ダビデに約束されたように、主が再びソロモンに語りかけた。
「わたしはあなたの祈りを聞き、この宮を聖なる場所として選んだ。わたしの名が永遠にここにとどまる。」主の声は雷のように響き、同時に慈愛に満ちていた。「しかし、ソロモンよ、あなたが父ダビデのように心を尽くしてわたしに従い、正義を行うなら、わたしはあなたの王国を堅く立てる。だが、もしあなたやあなたの子らがわたしを捨て、他の神々に従うなら、イスラエルはこの地から引き抜かれ、この宮も廃墟とされるだろう。」
ソロモンは身震いし、額を地につけた。主の言葉は厳粛であり、契約の重みを感じた。彼は決意を新たにし、主の教えを守ることを心に誓った。
その後、ソロモンはエルサレムの建設と王国の強化に力を注いだ。二十年かけて、彼は主の宮と自身の王宮を完成させた。さらに、ヒラム王に感謝のしるしとしてガリラヤ地方の二十の町を与えたが、ヒラムはそれらの町を見て満足せず、「この土地は何の価値もない」とぼやいた。しかし、ソロモンはそれに動じず、むしろ国全体の防衛と繁栄に力を入れた。
彼は強制労働を組織し、要塞都市ハツォル、メギド、ゲゼルを再建した。また、紅海の港町エツヨン・ゲベルを整備し、交易船団を送り出して、オフィルから金や珍しい品々をもたらした。王国は富にあふれ、ソロモンの名声は国々に轟いた。
しかし、その栄華の陰で、主の警告はソロモンの心に刻まれていた。彼は年に三度、主の前に出て犠牲をささげ、民とともに契約を思い起こした。彼は知っていた。王国の真の繁栄は、主への忠実さにかかっていることを。
こうして、イスラエルは黄金時代を迎えたが、その平和はソロモンと民の信仰にかかっていた。主の約束は確かであり、祝福も裁きも、人々の選択に委ねられていたのである。