**詩篇91篇に基づく物語：神の御翼の下で**

ある静かな夕暮れ、エルサレムの郊外にダビデという名の羊飼いがいた。彼は日々、緑の牧草地で羊の群れを導きながら、孤独な時を過ごしていた。しかし、彼の心には深い平安があった。なぜなら、彼は幼い頃から父エッサイに教えられた詩篇の言葉を胸に刻んでいたからだ。

「いと高き方の隠れ場に住む者は、全能者の陰にやどるであろう。」（詩篇91:1）

ダビデはこの言葉を信じていた。彼は、神が自分を守ってくださることを疑わなかった。ある夜、山奥で嵐が襲ってきた。雷鳴が轟き、稲妻が空を引き裂いた。羊たちは恐怖に震え、散り散りになろうとした。しかし、ダビデは慌てなかった。彼は岩陰に身を寄せ、静かに祈った。

「主はわたしの避け所、わたしのとりで。わたしの信頼する神。」（詩篇91:2）

すると、不思議なことに、風は次第に静まり、雨雲が裂けて星々が輝き始めた。ダビデは神の御手が自分を包んでくれたことを感じ、感謝の祈りをささげた。

ある日、ダビデの村に疫病が蔓延した。人々は次々に倒れ、町は悲しみに包まれた。しかし、ダビデは恐れなかった。彼は詩篇の約束を思い出した。

「たとい疫病が暗やみにはびこり、滅びが真昼に荒れ狂っても、あなたはそれを恐れることはない。」（詩篇91:6）

彼は病人たちの傍らに座り、祈りながら水を運び、傷を包んだ。すると、不思議なことに、彼自身は病にかからず、彼が手当てをした人々も次第に回復していった。村人たちは驚き、ダビデにその理由を尋ねた。

「神は御使いに命じて、あなたをすべての道で守られる。彼らはあなたをその手にのせ、足が石に打ち当たらないようにする。」（詩篇91:11-12）

ダビデは微笑みながら答えた。「わたしはただ、神の御翼の下に身を寄せているだけです。」

年月が流れ、ダビデは年老いた。彼の人生には多くの試練があったが、彼は一度も神の守りを疑わなかった。ある晩、彼は静かに眠りについた。その夢の中で、彼は光り輝く御使いに迎えられ、天の御国へと導かれた。

地上では、彼の言葉が人々の心に残り、詩篇91篇は永遠の約束として語り継がれた。

「彼がわたしを愛しているので、わたしは彼を助けよう。彼がわたしの名を知っているので、わたしは彼を高くあげよう。彼がわたしに呼びかけるなら、わたしは彼に答える。苦しみのとき、わたしは彼と共にいて、彼を救い、彼に誉れを与えよう。」（詩篇91:14-15）

こうして、神の真実は代々にわたって示され、信じる者たちは今もなお、全能者の御翼の下で安らぎを見いだすのである。