**エゼキエル書23章に基づく物語**
ユダの民が捕囚の地バビロンで苦しんでいた時代、預言者エゼキエルは神の言葉を受け、人々に警告を告げた。ある日、主はエゼキエルに幻を示し、こう語られた。
「人の子よ、二人の姉妹がいた。一人はオホラ、もう一人はオホリバという。彼女たちはエジプトで若い頃からわたしのものとなり、わたしの妻となった。しかし、彼女たちは姦淫を重ね、わたしを裏切った。」
エゼキエルは神の声に耳を傾け、幻の中で二人の女の姿を見た。姉のオホラはサマリアを象徴し、妹のオホリバはエルサレムを象徴していた。
**オホラの背信**
オホラは若い頃、エジプトで主のものとなったが、すぐに周りの国々に心を奪われた。アッシリアの兵士たちの青く輝く鎧、力強い馬、豪華な贈り物に魅了され、彼らと姦淫を重ねた。彼女はアッシリアの偶像を礼拝し、エジプトの神々にも香をたいた。主は怒り、彼女をアッシリア人の手に渡した。彼らは彼女を捕らえ、剣で子供たちを殺し、彼女を恥辱にさらした。こうしてオホラは滅び、サマリアはアッシリアによって滅ぼされた。
**オホリバの堕落**
しかし、妹のオホリバは姉の過ちから学ばず、さらにひどい背信を重ねた。彼女はバビロンの貴族たちの豪勢な衣装、香り高い香油、優雅な言葉に心を奪われ、彼らと姦通した。彼女はアッシリア人との罪を悔い改めるどころか、カルデア人の彫像に目を奪われ、使者を遠くバビロンにまで送り、情欲にふけった。彼女の宮殿の壁には、カルデア人の戦士や高官の像が刻まれ、彼らに向かって香をたき、捧げ物をした。
主はエゼキエルに語られた。
「見よ、オホリバは姉よりもさらに堕落した。彼女はわたしを忘れ、異国の神々に身を任せた。それゆえ、わたしは彼女を愛する者たちの手に渡す。バビロン人とその同盟国が彼女を攻め、彼女の鼻と耳を切り落とし、子供たちを奪い去る。彼らは彼女の衣服を剥ぎ取り、宝石を奪い、彼女を裸にして恥をかかせる。こうして、彼女は自分が慕った者たちの手によって滅ぼされる。」
**審判の宣告**
主の怒りは激しく、エゼキエルは震えながら神の言葉を民に伝えた。
「お前たちはエジプトの奴隷の時代からわたしを忘れ、異教の神々に従った。それゆえ、わたしはお前たちを剣と飢饉と疫病に渡す。バビロンはお前たちを包囲し、町は火で焼かれ、子供たちは目の前で殺される。お前たちは捕らえられ、異国の地でわたしの怒りを思い知るだろう。」
民はエゼキエルの言葉を聞き、恐怖に打ち震えた。しかし、彼らの心はまだ頑なで、悔い改めようとしなかった。
**結び**
こうして、主はイスラエルとユダの罪を裁き、彼らを捕囚として散らされた。しかし、神は最後にこう告げられた。
「彼らがわたしを忘れても、わたしは彼らを完全には滅ぼさない。いつか彼らが悔い改め、再びわたしに立ち返る時が来る。」
エゼキエルはこの幻を語り終え、民に神の正しさと、悔い改めの必要性を訴えた。しかし、彼らの運命は既に定められていた。バビロンの軍勢が迫り、神の裁きが実行されようとしていた。
(終わり)