**ネヘミヤ記7章:エルサレムの守りと民の登録**
エルサレムの城壁がついに完成した日のことである。太陽が西の山々に沈み、金色の光が石垣の上に輝いていた。ネヘミヤは高く築かれた門の上に立ち、風が彼の衣を揺らすのを感じながら、神の御業を静かに思い巡らしていた。長い苦闘の末、ついに敵の脅威に屈することなく、この聖なる都を守る壁が再建されたのである。
しかし、ネヘミヤの心には新たな課題が浮かんでいた。城壁は完成したが、エルサレムの内部はまだ広く荒れたままであり、住民も少なかった。彼は神の導きを求め、祈りをささげた。
「主よ、あなたが私に与えられた使命はまだ終わってはいません。この都を守る者が必要です。どうか、民を導き、この地を再び満たしてください。」
その時、ネヘミヤはかつてバビロン捕囚から帰還した民の記録を調べることを思い立った。彼は祭司エリアシブや他の指導者たちを集め、ダビデの時代から伝わる家系の記録を探させた。そして、最初の帰還者たちの名が記された古い巻物が見つかった。それは、神の民がどのようにしてこの地に戻り、約束の地に根を下ろしたかを示す貴重な記録であった。
ネヘミヤは慎重にその巻物を開き、朗読し始めた。
「バビロンの王ネブカドネザルによって捕らえられていた者たちのうち、エルサレムとユダの町々に帰還した者の数は次のとおりである……」
巻物には、氏族ごと、家族ごとに、帰還した人々の名前が詳細に記されていた。祭司たち、レビ人、門衛、歌うたい、ソロモンの僕の子孫、そして一般の民――すべてが神の導きによって再び集められた者たちであった。ネヘミヤはその名を一つひとつ確認し、神がどれほど忠実にご自身の民を守られたかを深く感じた。
「この人々こそ、エルサレムを再建し、神の律法を守るべき者たちだ。」
ネヘミヤは直ちに行動を起こした。城門の開閉を管理する者を定め、夜警を配置し、住民たちがそれぞれの役割を果たすように指示した。さらに、彼は民の登録を再度行い、家族ごとに居住地を定めた。
「この都は神の御名が住まわれる場所である。私たちは怠惰であってはならない。」
民もまた、ネヘミヤの熱意に応えた。彼らは自分の家を建て直し、畑を耕し、神殿への奉仕を再開した。そして何よりも、神の律法を守り、安息日を聖別し、異邦の習慣に染まらないように心がけた。
こうして、エルサレムは単に石の壁に守られただけでなく、神を畏れる民の信仰によって堅く立つようになった。ネヘミヤは、すべてが神の御手の中にあることを確信し、静かに祈った。
「主よ、あなたの慈しみはとこしえに続きます。どうか、この民があなたの道から離れることなく、永遠にあなたを礼拝しますように。」
そして、夕暮れの鐘が鳴り響く中、エルサレムの城壁は、神の約束の確かさを静かに証ししていたのである。