**民数記15章に基づく物語:忠実なる従順の証**
荒野の旅路を続けるイスラエルの民は、乾いた砂の上に足跡を刻みながら、約束の地へと進んでいた。モーセは神の幕屋の前で静かに祈りをささげ、民のための導きを求めていた。その時、雲の柱が幕屋を覆い、神の声がモーセの心に響いた。
「イスラエルの子らに告げよ。彼らがわたしが与える地に入り、穀物の収穫を得るとき、初穂をわたしにささげるがよい。また、すべての世代にわたって、焼き尽くす献げ物や和解の献げ物をささげる際には、最上の小麦粉に油を混ぜ、香り高い薫香と共にささげよ。これは、わたしの前に喜ばれる香りである。」
神の言葉は、民の生活のあらゆる場面に神を覚えることを求めるものだった。ささげ物の詳細な規定は、彼らが神の聖さを忘れず、日々の糧の源が神ご自身であることを思い起こさせるためであった。
しかし、その同じ日、一人の男が安息日にたきぎを集めているところを人々に見つかった。彼はエジプトを出た異邦人の混じった者で、イスラエルの掟を深く知らなかった。人々は彼をモーセとアロンのもとに連れて行き、どう処置すべきか尋ねた。
神は再びモーセに語られた。
「この男は安息日を破った。彼は石で打たれて死ななければならない。全会衆が宿営の外で彼を処刑せよ。」
民は神の命令に従い、その男を宿営の外に連れ出し、石で打った。彼の死は、神の律法の厳粛さをすべての民に刻みつける出来事となった。その後、神はモーセに命じられた。
「イスラエルの子らの衣服のすそに、青いひもの房をつけさせよ。これは、あなたがたがわたしのすべての戒めを覚え、それに従うためである。あなたがたは聖なる民であり、他の民と異なる者とならなければならない。」
モーセは民にこの命令を伝え、人々は衣服に青い房を付け始めた。それは、神の律法を常に思い出し、歩みを正すための目に見えるしるしであった。
こうして、イスラエルの民は神の律法の細部にまで従うことを学び、約束の地へと進む準備を整えていった。彼らの信仰は、ささげ物の香りのように神に届き、青い房は彼らの従順の証となったのである。