**詩篇102に基づく物語:苦しみの中からの祈り**
遠い昔、ユダの民がバビロンの捕囚として苦しんでいた時代、一人の孤独な祈り手がいた。彼の名はエリアム。かつてエルサレムの栄華を目にしていたが、今は廃墟と化した故郷を思い、深い悲しみに沈んでいた。彼の心は重く、体は病に冒され、日々を嘆きながら過ごしていた。
ある夜、エリアムは荒れ果てた野原に座り、冷たい風に身を震わせながら天を見上げた。月の光も届かない暗闇の中、彼の唇から静かな祈りがこぼれた。
**「主よ、私の祈りを聞き入れてください。私の叫びがあなたに届きますように。私の苦しみの日に、御顔を私に隠さないでください。耳を傾けて、速やかに答えてください……」**
彼の声はかすれ、涙が頬を伝った。彼の日々は煙のように消え、骨は炉のように焼かれていた。心は打ち枯らされた草のようで、食べることさえ忘れるほどだった。孤独は彼を蝕み、敵は彼を嘲った。
**「私はみじめなこうもりのようだ。孤独なふくろうのように、荒れ果てた壁に座り、夜通し泣き続ける……」**
しかし、その絶望の只中で、彼はふと主の永遠を思い出した。
**「しかし、主よ、あなたはとこしえにいます方。あなたの御名は代々にわたって覚えられる……」**
彼の祈りは次第に変わり始めた。自分の苦しみから目を離し、神の不変の御性質に思いを向けた。
**「あなたは立ち上がり、シオンをあわれんでくださる。あなたのしもべたちがその石を惜しみ、そのちりをさえも憐れむ時が来る……」**
彼の心に希望の光が差し込んだ。たとえ今は苦しくとも、主は必ず約束を果たし、シオンを再建してくださる。彼の短い生涯が終わっても、主の御国は永遠に続く。
**「あなたの年は代々にわたって続きます。あなたは初めに地を据えられ、天もあなたの御手のわざ。それらは滅びるでしょう。しかし、あなたは変わることがない……」**
夜明けが近づき、東の空が薄明るくなった時、エリアムは静かに立ち上がった。彼の目にはまだ涙の跡があったが、心には確かな平安が満ちていた。
**「主のしもべたちの子孫は堅く立ち、彼らの前にその子孫は確かにされる……」**
彼はもう孤独ではなかった。主が共におられ、彼の祈りを聞き、必ず答えてくださることを知っていた。
こうして、エリアムは新たな希望を持って歩み始めた。彼の祈りは詩篇102として後の世代に伝えられ、苦しむすべての人々に慰めを与えるものとなった。
**「これは苦しみにあった者の祈り。彼がその嘆きを主の前に注ぎ出し、その苦しみを主の前に訴えたものである。」**
主は、今もなお、すべての嘆きを聞き、必ず答えてくださる。