聖書

ミカ書7章 闇の中の希望の光

**ミカ書7章に基づく物語:闇の中の希望の光**

ユダの地は深い闇に包まれていた。預言者ミカの心は重く、彼の目には涙が浮かんでいた。人々の罪が国を蝕み、正義は地に落ち、愛と信頼は消え去っていた。かつては神の教えに従った民も、今では互いに裏切り、貪欲に溺れ、弱き者を虐げていた。

「悲しいかな、わたしは夏の果実を集める者のように、ぶどうの残りを摘む者のようになった。食べるべき良いぶどうは一つもなく、わたしのたましいの求める初なりのいちじくもない。」

ミカは孤独を感じながら、荒廃した町を歩いた。家々の戸は閉ざされ、隣人は互いに疑い合い、家族さえも信じられなくなっていた。息子は父を侮り、娘は母に逆らい、嫁はしゅうとめと争う。かつての絆はもはや影も形もなかった。

「友に信頼するな。親しい者をも頼むな。あなたのふところに寝る妻にも、あなたの口を慎め。」

ミカはうめきながら神に祈った。「主よ、この国を見てください。正しい者は一人もいません。すべての者が血を流し、悪をもって悪に報います。」彼の心は痛んだが、それでも彼は希望を捨てなかった。

「しかし、わたしは主を仰ぎ見、わが救いの神を待ち望む。わが神はわたしの願いを聞かれる。」

ミカは静かに祈りを続けた。彼は神の正義が必ず訪れることを知っていた。たとえ今が闇の中であっても、神の光は消えることはない。やがて神は民の罪を裁き、悔い改める者を赦し、再び彼らを導かれる。

「わたしの敵よ、わたしについて喜ぶな。たといわたしが倒れても、起きあがる。たといわたしが暗やみの中にすわっても、主はわが光である。」

ミカの言葉は、まるで遠くから聞こえる希望の鐘の音のようだった。神は決して見捨てず、真実をもって民に応えられる。ミカはその約束を胸に、暗闇の中でも前を見つめて歩み続けた。

「主は、わがために言い争い、わが権利を立てられる。主はわたしを光に導き出し、わたしにその救いを見させられる。」

やがて、神の時が来る。その日、国々は驚き、恥じ入る。神は民の罪を海の深みに投げ入れ、彼らを新たにされる。

「だれかあなたのような神があろうか。あなたは咎をゆるし、その嗣業の残れる者の罪を見過ごされる。あなたは怒りをいつまでも保たず、恵みを喜ばれる。」

ミカの心は静かな確信に満たされた。神の愛は変わらず、その約束は永遠だ。たとえ今が苦しみの時であっても、神は必ず救いの御手を伸ばされる。

「あなたは昔、われわれの先祖たちに誓われたように、ヤコブにまことを、アブラハムにいつくしみを示される。」

こうしてミカは、闇の中でも揺るがない信仰をもって、神の救いを待ち望み続けた。彼の言葉は後の世代へと伝えられ、やがて来るべき救い主の約束へとつながっていくのであった。

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