**エゼキエル書34章に基づく物語:失われた羊と善き牧者**
ある日のこと、預言者エゼキエルは神の声を聞いた。それは力強く、しかも深い悲しみに満ちた声だった。神はエゼキエルに、イスラエルの牧者たちに対する厳しい言葉を語り始められた。
「人の子よ、イスラエルの牧者たちに対して預言せよ。彼らは自分自身を養いながら、群れを顧みない。乳を飲み、羊毛を身にまとい、肥えた動物を屠るが、弱いものは強くせず、病んだものは癒やさず、傷ついたものは包まず、迷い出たものは尋ね求めず、失われたものは探しもせず、かえって力ずくで、苛酷に群れを支配している。」
エゼキエルの心は痛んだ。彼は眼前に広がる荒廃したイスラエルの姿を見た。羊たちは飢え、傷つき、野の獣に襲われ、散り散りになっていた。牧者たちは王や祭司、権力者たちだったが、彼らは民を導くどころか、自分たちの欲望を満たすためだけに支配していた。
神の声はさらに続いた。
「それゆえ、牧者たちよ、わたしはお前たちを訴える。わたしの群れを顧みず、自分自身のことばかりを求めたからだ。見よ、わたしは牧者たちに立ち向かい、群れを彼らの手から取り上げる。彼らはもはや群れを養わず、自分自身を養うこともできなくなる。そして、わたしはわが羊を彼らの口から救い出し、もはや彼らの餌食とはしない。」
エゼキエルは神の怒りの大きさに震えた。しかし、その後に続く言葉には、深い憐れみと希望が込められていた。
「わたし自身がわが羊を探し出し、彼らの世話をする。迷い出た羊を尋ね求め、追われたものを連れ戻し、傷ついたものを包み、弱ったものを強くする。しかし、肥えたものと強いものを滅ぼす。わたしは公平をもって彼らを養う。」
神はご自身が真の牧者であることを宣言された。そして、やがて来るべき日について約束された。
「わたしは彼らのために一人の牧者を立てる。彼はわが僕ダビデだ。彼は彼らを養い、彼らの牧者となる。そして、わたしは彼らと平和の契約を結ぶ。悪い獣をこの国から絶ち、彼らが野に安らかに住み、森の中でも眠れるようにする。わたしは彼らとわが丘の周りに祝福を下し、季節に従って雨を降らせる。それは祝福の雨となる。野の木は実を結び、地は産物を生じ、彼らは自分の土地に安らかに住む。こうして、彼らはわたしが主であることを知る。」
エゼキエルは神の約束に心を打たれた。散らされた羊たちは再び集められ、真の牧者の下で守られる。神ご自身がその民を養い、導かれるのだ。
そして神は、最後にこう言われた。
「わが群れ、わが牧場の群れよ。あなたがたは人間であり、わたしはあなたがたの神である。わたしは主である。」
エゼキエルはこの幻を人々に語り伝えた。それは、今の支配者たちへの裁きの告発であり、同時に、神の民に対する永遠の愛と回復の約束だった。
**終わり**