**テモテへの第一の手紙 第5章に基づく物語**

エペソの教会は、初代教会の重要な拠点の一つであった。パウロの愛弟子テモテは、この地で牧会の任に就いていた。ある日のこと、テモテは教会の信徒たちからの訴えを聞いた。教会には多くのやもめたちがおり、その中で助けを必要とする人々と、そうでない人々が混在していた。テモテはこの問題をどう扱うべきか、深く考えた。

### **やもめたちへの配慮**

エペソの町には、信仰深いやもめたちが大勢いた。彼女たちの多くは、夫を失い、家族の支えもなく、孤独と貧しさに苦しんでいた。一方で、親族がいるにもかかわらず、教会に依存する者もいた。テモテはパウロから教えられたことを思い出した。

「真のやもめとは、全く寄る辺のない者だ。彼女は神に望みを置き、日夜、祈りと願いに専念している。しかし、快楽にふけるやもめは、生きながら死んでいる。」

テモテは教会の長老たちを集め、この問題について話し合った。

「教会は、本当に助けを必要とするやもめを支援すべきです。しかし、家族がいる場合は、まずその親族が面倒を見るべきでしょう。そうすれば、教会は本当に困っている人々に手を差し伸べることができます。」

長老たちは頷き、この方針に従うことを決めた。

### **家族の責任**

その翌日、テモテは信徒たちに教えを説いた。

「兄弟姉妹たち、家族が互いに助け合うことは、神の御心です。もしやもめに子供や孫がいるなら、彼らがまずその母親や祖母を敬い、支えるべきです。これは神に喜ばれる行いです。」

ある青年が進み出て言った。

「テモテ先生、私は祖母を家に迎え入れたいのですが、生活が苦しくて……」

テモテは優しく答えた。

「神はあなたの心を見ておられます。できる限りのことをしなさい。教会も必要な支援をします。しかし、家族としての責任を放棄してはなりません。」

青年は深く頷き、決意を新たにした。

### **やもめの登録と資格**

テモテはさらに、教会が正式に支援するやもめの条件を定めた。

「六十歳未満のやもめは、登録の対象とすべきではありません。彼女たちには再婚する可能性もあり、教会の負担が増すだけです。真に教会の助けを必要とするのは、高齢で、善行に励み、子供を育て上げ、旅人をもてなし、聖徒の足を洗い、困っている人を助け、あらゆる善いわざに励んだ信仰深いやもめたちです。」

この言葉を聞いて、信徒たちは神の知恵に感嘆した。

### **長老たちへの敬意と戒め**

テモテは次に、教会の指導者である長老たちについて語った。

「長老たちは、神の言葉を教え、教会を導く重い責任を負っています。だから、彼らを二重の尊敬をもって遇しなさい。特に、み言葉の教えと宣教に労苦している長老は、それにふさわしい報いを受けるべきです。」

しかし、テモテは厳しい表情を浮かべ、続けた。

「ただし、もし長老が罪を犯したなら、二人か三人の証人の前でその罪を正しく指摘しなければなりません。すべてのことを、公正に行い、偏りがあってはなりません。」

この言葉は、教会の規律を保つ上で重要な教えとなった。

### **テモテの決意**

夜、テモテは静かな祈りを捧げた。

「主よ、私がこれらのことを正しく実行できますように。教会が愛と正義をもって歩めるよう、導いてください。」

彼はパウロの言葉を思い出した。

「自分自身と教えとに気をつけなさい。そうすれば、自分自身をも、またあなたの教えを聞く人々をも救うことになる。」

テモテは心を引き締め、明日からの働きに備えた。

こうして、エペソの教会は神の御心に従い、秩序と愛をもって成長していったのである。