聖書

王国の分裂:レハブアムとヤロブアムの物語

**王国の分裂:レハブアムとヤロブアムの物語**

ユダの王ソロモンが死に、その子レハブアムが王位を継いだ頃、イスラエルの民は重い労働と厳しい税に苦しんでいた。ソロモンの時代、神殿や宮殿の建設のために人々は労役を課せられ、その負担は年々増していた。そこで、北イスラエルの人々は、エフライム族の勇者ヤロブアムを先頭に立ち、新王レハブアムのもとに嘆願しに来た。

ヤロブアムはかつてソロモン王の監督官として働いていたが、王の怒りを買い、エジプトに逃れていた。しかし、ソロモンの死を聞き、帰国していた。彼は民の代表として、レハブアム王に訴えた。

「あなたの父上は、私たちに重い軛を負わせました。どうか今、その労苦と重い税を軽くしてください。そうすれば、私たちはあなたに仕えます。」

レハブアムは彼らの要求を聞き、三日の猶予を求めた。その間、彼は父ソロモンに仕えた長老たちに助言を求めた。長老たちは知恵をもって答えた。

「もし今日、あなたがこの民のしもべとなり、彼らに仕え、優しい言葉をかけるならば、彼らは永遠にあなたのしもべとなるでしょう。」

しかし、レハブアムはこの助言を退け、自分と共に育った若者たちに尋ねた。彼らは驕り高ぶり、厳しい答えを勧めた。

「父上はあなたがたに重い軛を負わせたが、私はさらにそれを重くする。父上は鞭で懲らしめたが、私はさそりで懲らしめる。」

三日後、民は再び王の前に集まった。レハブアムは若者たちの助言に従い、厳しい言葉で答えた。これを聞いた北イスラエルの民の怒りは爆発した。

「ダビデの家と何の関わりがあるのか。イスラエルよ、各自自分の天幕に帰れ。ダビデの家よ、自分で自分のことを見るがよい!」

こうして、北の十部族はレハブアムを拒み、ヤロブアムを新しい王として立てた。ただ、ユダ族とベニヤミン族だけがダビデの家に忠実に従った。

**ヤロブアムの罪**

ヤロブアムはイスラエルの王となったが、民がエルサレムの神殿で礼拝するたびに、かつての王のもとに心が戻ることを恐れた。そこで、彼は二つの金の子牛の像を造り、一つをベテルに、もう一つをダンに置いた。

「これがあなたがたをエジプトから導き出した神々だ。」

彼は勝手に祭司を立て、秋の祭りの日にベテルでいけにえをささげた。これは主の前に大きな罪であった。主は預言者を通してヤロブアムを戒めたが、彼は悔い改めず、かえって預言者を迫害した。

一方、レハブアムもユダの王として、主の道から離れ、高き所やアシェラ像を立て、民を罪に導いた。こうして、かつて一つだったイスラエルの王国は分裂し、北と南で争いが絶えなくなった。

**神の裁きと警告**

主は預言者アヒヤを通して、ヤロブアムの家に対する裁きを告げた。

「あなたがわたしを捨て、金の子牛を造ったゆえ、わたしはあなたの家を滅ぼし、イスラエルを散らす。」

しかし、ヤロブアムは耳を傾けず、ますます悪を行った。一方、レハブアムもユダで同じように主の目に悪とされることを行い、エジプトの王シシャクが攻めて来て、エルサレムの宝物を奪うという災いが起こった。

こうして、二つの王国は互いに争い、神の律法から遠ざかっていった。かつてダビデとソロモンのもとで栄えた統一王国は、もはや戻ることのない分裂の道を歩み始めたのである。

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