**詩篇81に基づく物語：神の招きと民の選択**

かつてエジプトの地で苦しんでいたイスラエルの民は、神の力強い御手によって救い出された。彼らは紅海を渡り、荒れ野を旅し、ついにシナイの山のふもとにたどり着いた。その時、神は彼らに語りかけた。

「わが民よ、耳を傾けよ。わたしはお前たちの神、主である。お前たちをエジプトの苦しみから解き放った者だ。叫び声を聞き、雲の柱、火の柱をもって導いた。さあ、今、わたしの声に聞き従いなさい。」

民は震えながら集まった。神の声は雷のように響き、山は煙に包まれた。祭司たちは聖なる角笛を吹き鳴らし、新月の祭り、定められた時の祝いを告げ知らせた。これは、神がイスラエルと結んだ契約のしるしであった。

「お前たちには、エジプトの重荷を取り除いた。苦役の籠から解き放ち、自由を与えた。しかし、お前たちはわたしの声に聞き従わず、自分たちの欲望のままに歩んだ。」

神の言葉は深い悲しみに満ちていた。民は約束の地に入りながら、周囲の異教の神々に惑わされ、主を忘れてしまったのだ。彼らはバアルにひれ伏し、アシュトレトに供え物を捧げ、自分たちを贖った神を見捨てた。

「もし、わが民がわたしの声に聞き従い、わたしの道を歩んだなら、わたしは速やかに彼らの敵を打ち倒し、反逆する者たちに手を返したであろう。しかし、お前たちはわたしに背を向けた。」

神はなおも慈しみをもって招き続けた。

「さあ、わが民よ、再び立ち返れ。口を開けば、わたしはそれを満たそう。最も良い小麦でお前たちを養い、岩から湧き出る蜜で満足させよう。」

しかし、民の心は頑なであった。彼らは神の招きを無視し、自分たちの力に頼り、結局、敵の前に敗れ、苦しみの中に沈んでいった。

神の嘆きが風に乗って響く。

「ああ、わが民がわたしに聞き従い、わたしの道を歩んでくれたなら……。」

この物語は、神の絶え間ない愛と、民の選択の重大さを伝える。神は常に招き、救いの手を差し伸べるが、それに応えるかどうかは、私たちの自由に委ねられている。詩篇81は、神の声に耳を傾け、真の自由と祝福へと歩むことを呼びかけているのだ。