**「慰めの道を備える」**
荒野に呼ばわる者の声が響いた。「主の道を整えよ。荒れ地で、私たちの神のために大路を平らにせよ。」
その声は、預言者イザヤを通して、バビロン捕囚の苦しみの中にあるイスラエルの民に届けられた。人々は長い間、異国の地で奴隷として虐げられ、神に見捨てられたかのように思っていた。しかし、神は彼らを忘れてはいなかった。
**荒れ野の道**
砂漠の熱風が吹き荒ぶ中、一人の使者が現れた。彼の声は力強く、神の約束を宣言した。「すべての人は草のようだ。その栄えは、野の花のよう。草は枯れ、花はしぼむ。しかし、私たちの神の言葉は永遠に立つ。」
人々は疲れ果て、希望を失っていた。彼らの罪は重く、神の裁きを受けたと思っていた。しかし、神は彼らに語りかけた。「ヤコブよ、なぜ言うのか。イスラエルよ、なぜ『私の道は主に隠されている』と言うのか。あなたは知らないのか。聞かないのか。主は永遠の神、地の果てまで創造された方。疲れることなく、たゆむことなく、その英知は測りがたい。」
**鷲のように翼をかって**
神は彼らを励まし、約束を与えた。「若い者も疲れ、弱り、つまずく。しかし、主を待ち望む者は新たなる力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。走っても疲れず、歩いても弱らない。」
捕囚の民は、この言葉に耳を傾けた。彼らは、神が再び彼らを導き、約束の地へ連れ帰ってくださると信じ始めた。神は彼らの罪を赦し、新しい道を開かれるのだ。
**主の栄光の啓示**
そして、預言者の声はさらに高まった。「すべての谷は埋められ、すべての山と丘は低くされる。曲がった道はまっすぐに、でこぼこの道は平らになる。主の栄光が現れ、すべての人が共にこれを見る。」
神の栄光は、人間の力や知恵を超えたものである。国々の支配者も、神の前では無に等しい。「国々は桶の一滴のように、はかりの上の塵のように軽い。島々も、ちりのように取り上げられる。」
**羊飼いのように**
しかし、神はその偉大な力をもって、優しく民を導かれる。「主は羊飼いのように群れを養い、その腕に子羊を抱き、ふところに抱いて、乳を飲ませるものを優しく導かれる。」
捕囚の民は、この約束に希望を見出した。神は彼らを捨てず、再びエルサレムへと連れ帰り、ご自身の栄光を現されるのだ。
**終わりの約束**
預言者の声は最後にこう宣言した。「あなたがたの神は言われる。見よ。わたしはあなたがたの報いを携えて来る。わたしは、あなたがたを贖う者だ。」
人々は涙を流し、神の言葉を心に刻んだ。荒野の道は整えられ、神ご自身が彼らを導かれる。彼らはもう恐れることはない。主の約束は永遠に変わらないからだ。
こうして、イザヤの預言は、苦しむ民に希望を与え、神の救いの確かさを告げ知らせた。主の道は備えられ、やがて、その約束は成就するのである。