聖書

荒野の誓い ダビデの希望の旗印

詩篇第六十篇に基づく物語

荒野に吹く風は乾ききっており、砂塵が舞い上がるたびに、遠くに見える山々がかすんで見えた。ダビデ王は革の天幕の入口に立ち、西の空に沈みゆく太陽を見つめていた。その瞳には、幾多の戦いの記憶が去来していた。

「主よ、あなたは私たちを退け、私たちを打ち破られました」
ダビデは唇を震わせて呟いた。昨日の戦いの傷跡がまだ生々しい。エドムの軍勢が襲い来たとき、主の民はまるで酔った者のようによろめき、剣を握る力さえ失っていた。盾は打ち砕かれ、旗印は泥にまみれ、兵士たちの顔には敗北の色が刻まれていた。

夕闇が迫るなか、ダビデは祭壇の前にひざまずいた。銀の燭台の灯りが、彼の憔悴した面差しを揺らめく影で包む。
「あなたは御民に艱難を飲ませられ、私たちをよろめかせる酒を飲ませられました」

夜更け、ダビデは羊皮紙を広げ、香油で磨かれた硯に筆を浸した。彼の筆先には、深い信仰と苦悩が交錯しながら流れ出る。

「しかし、あなたを畏れる者には旗を掲げて
真理のゆえに逃げる者を守るために」

暁の光が東の山並みに差し始めたとき、ダビデは預言者ガドを召し寄せた。老預言者の白髪は朝もやの中で銀のように輝いていた。
「主は聖所でこう宣言される」とガドは厳かな声で語り始めた。
「わたしは喜び勇んでシェケムを分かち
スコテの谷を測り縄で測る。
ギレアドはわたしのもの、マナセもわたしのもの
エフライムはわたしの頭の兜
ユダはわたしの王杖。
モアブはわたしの洗い鉢
エドムにはわたしの靴を投げる
ペリシテよ、わたしのために叫べ」

これらの言葉が天幕に響き渡ると、ダビデの顔に初めて希望の光が宿った。彼は立ち上がり、鎧の胸当てをしっかりと締め直した。

「だれが私を堅固な町に連れて行くのか
だれが私をエドムに導くのか」

ダビデの声には確信が満ちていた。彼は将軍ヨアブを呼び、新しい作戦を指示した。太陽が完全に昇りきったとき、イスラエルの陣営には再び戦いの鬨の声が響き渡った。兵士たちは傷つきながらも、目には確かな信仰の光を宿している。

「神よ、あなたは私たちを退けられた
私たちの陣営を打ち破られました
しかし、今やあなたが私たちのために出て
私たちの必要を満たしてくださいます」

ダビデは先頭に立って進軍の号令をかけた。彼の手には、新たに織り直された旗印が風にはためいている。その旗には、主の約束の言葉が金糸で縫い取られていた。

荒野を渡る風は依然として熱く乾いていたが、今やそれは敗北の嘆きではなく、勝利への確信を運ぶ風となって吹き抜けていった。ダビデの唇には、主への信頼の祈りが絶えることなく続いていた。

「人の助けはむなしい
しかし神によって、私たちは力あるわざをなします
神こそ、私たちの敵を踏みにじられる方です」

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