(申命記12章に基づく物語)
ヨルダン川の東側で、昼の炎暑が和らぎはじめた頃、モーセの声は枯れ野に響いていた。長老たちは革のように硬くなった掌を膝の上に載せ、女たちは幼子を懐に抱き、皆が彼の言葉に耳を傾けていた。四十年の旅路がこの男の顔に刻んだ深い皺は、彼の言葉一つ一つに重みを与えているようだった。
「覚えておけ」とモーセは言い、その声は渇いた地面を濡らす夕立のようだった。「あなたたちが渡って行く土地では、かつての民たちがそれぞれの山や丘の上で、青々とした木々の下で自分たちの神々に仕えていた」
夕暮れ風が砂塵を舞い上げ、遠くに連なる山々が紫色に霞んで見える。人々の間にざわめきが走る。彼らはカナンの地で、石で築かれた異教の祭壇を見たことがあった。高く積まれた石の上で煙が立ち上り、彼らには理解できない儀式が執り行われているのを目にしていた。
「しかし」とモーセの声が再び響く。「主はあなたたちに言われる。彼らのように振る舞ってはならない。あなたたちの神、主はすべての部族の中から一つの場所を選ばれる。そこに御名を置くために」
老いたレビ族の男がうつむき、皺だらけの指で砂の上に円を描く。長い放浪の間、彼は幕屋が建てられるたびに、主の臨在がどのようにしてその場所を聖別するのかを見てきた。それは移動する聖所だった――しかし今、約束の地では、一か所だけが選ばれるという。
「あなたたちはそこへ、焼き尽くす献げ物と犠牲、十分の一の献げ物を持って行く」とモーセは続ける。「そこで家族と共に主の前に食し、あなたたちの手の働きの実りを喜び祝うのだ」
若い母親が懐の幼子を揺らしながら、その言葉に思いを馳せる。彼女はエジプト生まれではない――荒れ野で生まれ育った世代だ。乳母から聞かされたエジプトの話では、ナイル川沿いの豊かな土地では至る所で神々に犠牲が捧げられていた。彼女はこれまで、主に捧げる犠牲はいつも共同体全体で分かち合われてきたことを知っている。
「ただし、よく注意せよ」とモーセの声に力が込められる。「あなたたちが追い出す国々の民が自分の神々に仕えたすべての場所を破壊しなければならない。高い山々も、丘も、青々とした木の下もだ」
数人の男たちが互いに顔を見合わせる。彼らは戦士として、カナンの要塞化された町々を見てきた。石でできた異教の祭壇は、信仰の対象であると同時に、占領の証でもあった。それらを壊すことは、単なる宗教的行為ではなく、新しい支配の宣言なのだ。
日が沈み、最初の星々が東の空に現れ始める。焚き火がいくつも点火され、羊の肉を焼く匂いが漂ってくる。人々は氏族ごとに集まり、モーセの言葉について語り合う。
「すべての部族の中から一つの場所が選ばれるとはどういうことだろう?」と、ユダ族の若い男が尋ねる。彼の隣では、父親が黙って羊肉を切り分けている。
「主が選ばれる場所でしか、焼き尽くす献げ物を捧げてはならない」と父親は静かに言う。「荒れ野の旅では、幕屋が私たちの中心だった。約束の地では、一つの場所がすべての部族の中心となるのだ」
夜更けまで議論は続く。ベニヤミン族の長老は、かつて族長ヤコブがベテルで主に出会った故事を語る。ダン族の者たちは、土地の地理について話し合う――どこが最もふさわしいだろうか? エフライムの山地か、ユダの丘陵地帯か?
翌朝、モーセは再び民の前に立つ。夜明けの冷たい空気が、人々の息を白く曇らせている。
「主の選ばれる場所で屠ることも許されている」と彼は言う。「しかし、血を食べてはならない。それは命そのものだからだ。それを地に注がねばならない」
肉を処理する方法についての具体的な指示に、屠殺の仕事をする者たちは真剣に聞き入る。新しい土地での生活は、これまでの放浪生活とは根本的に異なるのだ。
四十日間の偵察から帰ってきた者たちが語ったカナンの話を、人々は思い出す。そこは乳と蜜の流れる土地だが、同時に異教の習慣が深く根付いた土地でもある。主の律法に従って生きるためには、これまでとは異なる形で信仰を実践しなければならない。
「あなたたちの神、主が祝福して与えられるすべてのものの中で、喜びに満ちて暮らせ」とモーセは結ぶ。「レビ人をも忘れるな。彼らには相続地がないのだから」
太陽が完全に昇り、谷間を金色に染める。人々はそれぞれの天幕に戻っていく。主の言葉は、単なる規則以上のもの――新しい土地での生き方の青図として、彼らの心に刻まれる。約束の地は目前に迫っているが、真の挑戦は、その地でいかに主に忠実であり続けるかということなのだ。
ヨシュアはモーセのそばに立ち、遠くに見えるヨルダン川の向こう側を見つめる。彼は、すべての部族が一つの場所に巡礼する光景を思い描く――エフライムの山地からも、ユダの荒野からも、北のガリラヤの湖周辺からも、人々が年に三度、主の選ばれた場所へと旅をするのだ。
「一つの場所が選ばれるまで」とヨシュアはつぶやく。「私たちは待たねばならない」
モーセはうなずく。主の時は常に完全だ。民は約束の地に入る前に、この重要な原則を理解しなければならない。主が選ぶ一つの場所――それは将来、すべての部族が一つとなるしるしとなるだろう。
その日、荒れ野の民の心に植え付けられたこの教えは、何世紀にもわたって受け継がれ、ついにエルサレムの丘に主の宮が建てられる日まで、彼らの信仰の礎となり続けるのだった。




