聖書

老いた祈りと神の導き

老いたる者の声は、砂丘を渡る風のようにか細く、しかも確かであった。彼は毎日、日が昇る前に目を覚まし、オリーブ山の斜面に腰を下ろした。ひび割れた指で膝を撫でながら、彼は目を閉じて静かに語り始める。まるで七十余年の歳月が、彼の内側でひとつの祈りに凝縮されているかのように。

「主よ、私のよりどころはあなたです。どうか私をはずかしめないでください」

東の空が葡萄色から淡い金色へと変わり始める頃、彼は少年の日々を思い出す。エルサレムの路地で遊びまわっていたあの頃、彼は初めて神の名を耳にした。母が子守歌のように囁くように唱えていた言葉――「あなたは私の岩、私のとりでです」。彼はその意味を理解できなかったが、母の温もりに包まれて安心を覚えたものだ。

やがて青年となった彼は、都の城壁の修復に携わった。暑さの中で石を運び、漆喰を塗る毎日。ある日、足を滑らせて高い足場から転落しそうになった時、彼は思わず叫んだ。「主よ、急いで私を助けに来てください!」 落下を免れた彼は、震える手で荒い石壁に触れ、初めて「救い」という言葉の重みを知った。

歳月は流れ、彼の頬には深い皺が刻まれ、背中は丸くなった。今、彼は再び困難の中にいた。隣人たちは彼を嘲り、かつて共に働いた者たちさえ彼から距離を置いた。彼は孤独の中で祈り続けた。

「神よ、私を遠くに捨てないでください。私の力が衰え、私の髪が白くなっても」

ある夕暮れ、彼はかつて転落しそうになった城壁のそばに立っていた。夕日が石壁を黄金に染め、遠くからは祭司たちの詠唱が聞こえてくる。突然、彼の胸に静かな確信が満ちてきた。長い人生で味わった数々の困難――家族を疫病で失った悲しみ、異国の軍隊に包囲された恐怖、自身の病による苦痛――そのすべてを通して、神の手が彼を支え続けてきたことを。

彼はうつむき、ほこりっぽい地面に指で言葉を書き始めた。「私の神よ、私を贖ってください」。彼の目には涙がにじんでいたが、それは苦しみの涙ではなく、感謝の涙だった。

月日が経つにつれ、彼は神殿の庭で過ごす時間を増やした。若者たちが時折、彼の周りに集まり、人生の知恵を求めた。彼はゆっくりと語りかける。「神は幼い時から私を教えてくださいました。今に至るまで、私はあなたの奇しいわざを宣べ伝えてきました」

ある安息日、彼は群衆の前で立ち上がった。老いた体は震えていたが、声は驚くほど力強かった。「神よ、だれがあなたに並ぶことができましょう。あなたは私たちに多くの苦しみと悩みを見させられましたが、再び私たちを生かし、地の深みから引き上げてくださいます」

その日から、彼は毎日、神殿の門の傍らに座り、神の恵みについて語り続けた。通りかかる巡礼者たちは、彼の言葉に耳を傾け、彼の祈りにうなずいた。彼の存在そのものが、神への賛美となっていた。

最後の日、彼はいつものようにオリーブ山の斜面に座り、朝もやの中のエルサレムを見つめていた。息が次第に弱くなるのを感じながら、彼は微笑んだ。「私の神よ、どうかあの残忍な者をはずかしめ、私のたましいを苦しみから贖ってください。私はたえずあなたの義と救いを歌います」

太陽が完全に昇りきる前に、彼の祈りは静かに終わった。しかし彼が遺した言葉は、風に乗って都中に広がっていくかのようだった――「私の神、私の岩。あなたをほめたたえるために。」

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