聖書

弱さを担う強さ

ローマの信徒への手紙十五章

湿った朝露が石畳に光る頃、エパフロスは目を覚ました。窓の外では、まだ薄暗い路地でパン焼きの煙がゆらめいていた。彼はうつむきながら羊皮紙を広げ、指でなぞるように書き写し始めた。「強い者は強くない者の弱さを担うべきであり、自分自身を喜ばせるべきではありません」

彼の隣では、足を悪くした老信徒マルコスがうなり声をあげた。エパフロスはすぐに立ち上がり、水差しを持ってきた。マルコスの足を洗いながら、彼は昨日の集会のことを考えた。アレクサンドロスという新しい信徒が、異邦人であることを理由に、ユダヤ人信徒たちから冷たくあしらわれていた。

「キリストもご自身を喜ばせたのではありません」エパフロスはつぶやくように言った。「『あなたを辱める者の辱めは、わたしの上に降りかかった』と書いてある通りです」

マルコスは痛みでしかめた顔をほころばせた。「あのアレクサンドロスのことか? 彼はローマの兵士だったそうだ。俺のような老人の足を洗おうとは思わんだろうな」

その時、扉が音を立てて開いた。そこには鎧のような胸板のアレクサンドロスが立っていた。彼は一歩踏み出すと、無言でマルコスの足を拭く布を受け取り、エパフロスの隣にひざまずいた。

「私は…ローマの軍団にいた時、多くのユダヤ人を傷つけました」アレクサンドロスの声は低く震えていた。「それでも主は、私のような者をも受け入れてくださった」

三人の頭の上で、雨漏りが規則的に床を打っていた。エパフロスはアレクサンドロスの肩に手を置き、再び書き写しを続けた。「かつて聖書に書かれたことは、すべて私たちの教えのために書かれたのです」

昼過ぎ、集会所には次第に信徒たちが集まってきた。ユダヤ人もいれば、ギリシャ人も、ローマ人もいた。エパフロスは羊皮紙を掲げ、声を張り上げた。

「希望の神が、あなたがたを信仰によって完全に喜びで満たし、聖霊の力によって希望に満ちあふれさせてくださいますように」

アレクサンドロスが立ち上がった。彼の手には古い剣の傷跡があった。「私はここローマで、キリストに仕える者となりました。パウロ兄弟が言うように、異邦人は神の憐れみのためにキリストに仕えるべきです」

ユダヤ人信徒の一人が反論しようとしたが、エパフロスが優しく制止した。「主イエスは、約束されたことを成就するために、割礼のある者の僕となられました。それは異邦人も憐れみを受けるためだと書かれています」

夕暮れ時、エパフロスは書き上げた巻物を手に、アレクサンドロスと共に街を歩いていた。路地では子どもたちが遊び、主婦たちが井戸端で笑い合っている。遠くからはローマ兵の足音が響く。

「パウロ師は、ここを去る日が近いと言っていました」エパフロスはため息をついた。「スペインへ向かう途中、ここに立ち寄ってくれるそうです」

アレクサンドロスは立ち止まり、西の空を見つめた。「私はローマに残ります。ここが私の戦場です。弱さを担い合うことこそが、真の強さだと学びました」

二人は暗くなり始めた空の下、無言で歩き続けた。遠くで教会の鐘が鳴り、今日一日の労苦をねぎらうかのようだった。エパフロスは心の中で祈った。この小さな群れが、希望をもって一つとなり、キリストの恵みによって立ち続けられますように、と。

彼の胸には、書き写したばかりの言葉が温もりとなって広がっていた。「どうか、聖霊によって与えられる喜びと平和に満たされて、信仰に満ちあふれ、希望にあふれて歩むことができますように」

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