聖書

主の声は荒野に響く

その日、朝から空の気配が変わっていた。ヨルダン川の西側、ギレアドの丘陵地帯に囲まれた小さな谷間で、老羊飼いのエリアブは、いつもと異なる大気の重さを皺だらけの頬に感じていた。彼の人生のほとんどをこの野で過ごしてきた。羊の群れの気配、風の匂い、雲の動き——それらは彼にとって書物のようなものだった。今、その書物は、深く厳粛な、ほとんど威圧的な一頁を開こうとしているようだった。

午後に入り、北のレバノンの山々の方向から、鈍い轟きが聞こえ始めた。最初は遠くで揺れる大地の息遣いのようだった。群れのうちの若い雄羊が、突然首を上げ、耳をピンと立てた。エリアブは杖にすがりながら、ゆっくりと立ち上がった。目の前の、彼が「主の広場」と呼ぶ広大な平原を見渡す。オリーブ色の草地は、次第に深みを増す鉛色の空の下で、不気味な輝きを帯びていた。

「主の声が水の上にあり」
彼の唇から、幼い頃から父に教え込まれた詩篇の一節が零れた。それは祈りというより、迫りくる現実に対する確認の呟きに近かった。

やがて、轟きは明確な「音」へと変容した。それは言葉にはならないが、途方もない意志を伝える「声」だった。西から、地中海の方向から、巨大な息が吹き上げてくる。樫の木の梢が一斉に唸り、身をよじる。葉の裏が白く翻り、まるで無数の口が一瞬で神の到来を告げ知らせているようだ。風は冷たくなり、湿り気をたっぷりと含んで、エリアブの粗末な外套をぴんぴんと叩く。

「栄光の神は雷鳴をとどろかせる」

雷鳴は、もはや遠くの山々の上だけのものではなかった。それは頭の真上、雲と大地の間を引き裂くように響いた。一瞬、世界が白く焼き付けられ、次の瞬間、耳をつんざく衝撃が大地を揺るがす。羊の群れは恐怖に凍り付き、あるいはばらばらに逃げ惑おうとする。エリアブは動じなかった。彼の足の裏から、震動が腿を伝い、胸を通り、歯の根まで響いてきた。この震えは、単なる自然現象の威力を超えている。かつてシナイ山でモーセを迎えたあの神聖な顫えに似ている、と彼はふと思った。神の足取りが、この平原を踏みしめているのだ。

雨が来た。しとしとと降る雨ではない。天の壺がひっくり返されたような、滝のような奔流だ。たちまち小川は濁流と化し、岩肌を噛み砕きながら轟音を立てて流れ下る。視界は水の壁に遮られた。しかし、その視界を奪う轟音と水音のさらに奥から、あの「声」は聞こえる。それは雑音に混ざるのではなく、雑音そのものを素材として、その中に刻み込まれる威厳ある旋律のように響いた。

「主の声は力をもって、主の声は威光をもってある」

突然、稲妻が至近の丘を直撃した。眩い閃光。炸裂する音。焦げ臭い匂い。一本の大きな杉の木が、みしりと悲鳴を上げて裂け、根本から倒れていく。その倒れる様は、巨人が跪くようだった。レバノンの香柏も、主の御前にはこのようにひれ伏す——詩篇の言葉が、眼前の光景に重なって、生きた啓示となって迫ってくる。エリアブは息を呑んだ。恐怖と、それ以上に圧倒的な「美しさ」に心を掴まれた。この破壊は、無慈悲な荒廃ではなく、創造主がご自身の被造物に対して持っておられる絶対的な主権の、厳粛な現れだった。それは優しい父の手でもあり、悪を砕く鉄の槌でもある御手の業。

嵐は頂点に達し、そして、まるで幕切れを知らせるように、少しずつその勢いを緩め始めた。雷鳴は遠ざかり、雨は霧のような細雨に変わり、風はうめきからため息へと変わった。西の空の雲の切れ目から、夕日が差し込んだ。金色の光が、水に洗われた草原、滴る木々、そして倒れた杉の巨木を照らし出す。全てが輝いていた。荒れ狂った後の静寂は、耳をつんざくほど深く、神聖ですらあった。

エリアブは濡れた岩に腰を下ろし、震えながらも落ち着きを取り戻しつつある群れを見守った。彼の心に、静かな確信が満ちていた。このすべての出来事——破壊と静寂、威嚇と栄光——は、一つの途切れることのない宣言だった。世界の一切の力と壮麗さの彼方に、その力と壮麗さの源であるお方がおられる。嵐はその御声の響きに過ぎない。倒れる木々も、震える山々も、うずまく川も、全てが御前にひれ伏す証人なのだ。

彼はうつむき、額が膝に触れるほど深く俯いた。もはや詩篇の言葉を声に出す必要はなかった。彼の全存在が、その言葉そのものになっていた。

「主はその民に力を与え、主は平安をもってその民を祝福される」

夕闇が谷を満たし始める頃、最後の雨粒が樫の葉から落ちる音だけが響いていた。遠くで、一匹の雌羊が仔を呼ぶ声がした。エリアブはゆっくりと立ち上がり、杖を取り、群れのもとに歩み寄った。彼の顔には、深い労いと、揺るぎない平安があった。嵐は去った。しかし、嵐を通して語られた方の臨在は、この静けさの中に、以前よりもいっそう鮮やかに、確かに留まっていた。彼はため息ではなく、感謝の息を吐きながら、羊たちを夜の宿営地へと導き始めたのである。

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