埃が舞う小アジアの道を、わたしは歩いていた。足元の石の温もりが、革のサンダルを通…
ほの暗いローマの裏通りを、マルクスは足を引きずりながら歩いていた。左足の古傷が、…
その日もガリラヤの丘は、午後の斜光を浴びて黄金に濁っていた。ヨセフは石垣の陰に腰…
エルサレムの城壁の影が、ぎざぎざと谷間へ伸びていく頃合いだった。帰還の民でようや…
ヨナは、その肌にまだ塩の気配を残しながら、長い道を歩いていた。足元の砂利が軋む音…
その頃、ダニエルは、ベルシャシャル王の治世の第三年のことについて、一つの啓示を受…
海は穏やかな日、ガラスのように光っていた。遠くから見れば、ツロはまさに海に浮かぶ…
ユーフラテスの水は、今日も濁ってゆったりと流れていた。水辺に立つ煉瓦の大城壁は、…
エルサレムの朝は、灰陶器のような空から始まった。夜の冷気が石畳にへばりつき、家々…
その日、エルサレムの風は乾いていた。市場の喧噪が壁を伝わり、私の居る小部屋にも届…