その日、埃っぽい風がバビロンのケバル川沿いの集落を渦巻いていた。窓という窓からは、粘土を焼くような熱気が流れ出し、どこからか子羊の鳴き声がかすかに聞こえてくる。エゼキエルは小屋の陰に座り、足元に散らばった干しイチジクをぼんやりと見つめていた。彼の心は重かった。捕囚の民の唸りのような祈りが、朝から絶えることがない。すると突然、あの感覚が押し寄せた。肩のあたりが締め付けられ、目の前の風景が、まるで水に映る影が揺らぐように、二重に見え始める。主の手が彼の上に置かれた。
彼は立ち上がり、よろめくように日陰の奥へと歩み寄った。目を閉じれば、故郷の山々の稜線が浮かび、開けば、異国の地の平坦な土壁が広がる。その狭間で、声が響いた。鋭く、そして深く、地の底から湧き上がるような響きであった。
「人の子よ、ぶどうの木は、森の木々の中で、ほかの木にまさって、いったい何になるのか。」
エゼキエルは息を呑んだ。声は、彼の内部から外部へ、そして再び内部へと反響する。彼は無意識に、かつてアナトテの丘に足を踏み入れた時のことを思い出した。雑木林を抜けた先に、野生のぶどうの木が、細い蔓で柏の木に絡みつき、わずかに青い実をぶら下げていたあの光景を。あの木は、確かに果実をつけていた。しかし収穫の時、農夫はその実を摘み、後には何が残るだろう。曲がりくねった蔓、節だらけの幹。それは斧を入れるにも、材木として柱にすることも、ましてや器物をこしらえるにも、全く適さない。子供が遊びで弓を作ろうとしても、ぽっきり折れてしまうような、脆いものだ。
声は続いた。「それを、何か仕事に用いるために取る者があろうか。あるいは、それで、物を掛ける釘を作る者があろうか。」
エゼキエルは目を見開いた。彼の眼前に、幻が浮かび上がる。ある男が、そのぶどうの木を切り倒し、枝を払い、幹を運ぼうとしている。男は額に汗を光らせ、ようやく工房まで運び込むが、大工はそれを一目見て首を振る。節が多すぎ、歪みが激しい。男は仕方なく、暖炉のそばに放り投げる。そこには既に、樫や杉の切れ端が積まれている。ぶどうの木は、その横で、みすぼらしく細く、色褪せて見える。
「見よ、それを火の燃料として用いる。火はその両端を焼き、中間も焼き焦がす。それで、なお、何か仕事に適するだろうか。」
幻の炎が揺らめいた。まず一方の端から火の舌が舐め上がり、パチパチとはぜる。続いてもう一端。やがて真ん中まで炎が広がり、枝はあっという間に黒く炭化し、崩れ落ちる。炎は消え、残ったのは、わずかな灰と、形すらはっきりしない黒い棒切れだ。それを拾い上げ、再び何かに使おうとする者はいない。最初から役に立たないものが、焼かれて、いよいよ役に立たなくなる。その過程そのものが、無価値の証明でしかない。
静寂が訪れた。ケバル川の水の音が、遠くから聞こえてくる。エゼキエルの頬を、一粒の汗が伝った。彼はその意味を、ゆっくりと消化し始めていた。重苦しい確信が、胃の底から込み上げてくる。
すると声は、鋭い断定をもって結んだ。「わたしがエルサレムの住民を、このぶどうの木のようにする。彼らを火の中に投げ入れる。そして火は彼らを焼き尽くす。彼らが火から逃れても、火は再び彼らを焼く。そして、あなたたちは、わたしが主であることを知るようになる。わたしが彼らを、その背信の故に、火の中に向けたとき、彼らは地の面から取り除かれる。」
エゼキエルは膝を突いた。砂埃が、唇にほのかな渋みを残す。彼の脳裏に、エルサレムの喧噪がよみがえった。市場の賑わい、神殿の丘に上がる煙、広間での議論…。すべてが、あのぶどうの木のように見えてきた。果実らしきものは確かにあった。繁栄、祭儀、活動。しかし、それは何のためのものだったのか。もし、その本質が主への忠実な信頼、義と公正という堅材でできていなければ、すべての活動は、燃えやすい蔓に過ぎない。火が来れば、真っ先に焼け落ち、何の痕跡も残さない。
彼は深く息を吸い込んだ。預言者としての務めが、鉛のように心に沈む。これは、単なる破滅の宣告ではない。むしろ、根源的な問いかけだ。「お前たちの本質は何か。お前たちの存在意義は、いったい何にあるのか。」 エルサレムは、森の木々の中で、選ばれたぶどうの木であった。しかし、その特権が、実を結ぶこと以外の何かを保証するわけではなかった。むしろ、実を結ばないのであれば、ほかのどの木材よりも無用である、という厳しい現実。
日が少し傾き、小屋の影が長く伸びていた。エゼキエルはゆっくりと立ち上がり、集落の方へ歩き始めた。彼はこれから、人々の前に立たねばならない。この重く、鋭い言葉を、彼らの魂に刻み込むために。彼らに、自分たちが今、まさに火の中に投げ込まれつつあるぶどうの木であることを、理解させねばならない。その言葉は優しくはない。しかし、それが偽りのない真実であることだけは、川の流れのように確かだった。風がまた吹き、彼の粗布の衣の端を揺らした。その風は、遠いエルサレムから、すでに焦げ臭さを運んでくるかのようだった。




