聖書

荒野からの幻視

夜は深く、エルサレムの丘には冷たい風が吹き抜けていた。窓の外では、オリーブの木々の葉がかすかに揺れる音だけが聞こえる。私は机に向かったまま、羊皮紙の上の灯りのゆらめきを見つめていた。何かが起こると、この胸の奥で固く重いものが告げる。預言者の務めとは、時にこうした沈黙の圧力に耐えることでもあった。

そして、ふと視界が揺らぐ。灯りの炎が、なぜか大きく膨らみ、部屋全体を飲み込むかのように感じた。瞬く間に、私はもうここにはいなかった。体が軽く、風に乗っているようで、眼前に広がるのは見知らぬ荒涼たる平野だった。風というより、むしろ「荒れ野からのつむじ風」が地を這うように襲ってくる。南からの風か? いや、方向さえ定かではない。ただ、それが破壊の息吹であることだけは、骨の髓までに染みてわかった。

視界の先に、巨大な都市の輪郭が浮かび上がる。高い城壁、幾重にも重なる宮殿の屋根。バビロンだ。誰かが囁くように言ったわけではないが、ただ知った。賑わいと驕りに満ちたその都は、今、異様な静寂に包まれている。そして、次第に聞こえてくるのは、戦車のきしむ音、馬のいななき、そして遠くから迫り来るうなり声だった。攻め手が来る。見よ、騎兵が二人連なって進んでくる。彼らは叫ぶ、「倒れた、バビロンが倒れた。そして、そのすべての偶像は地に打ち砕かれた」。

幻の中の私は、まるで城壁の上に立っているようだった。下では、人々が慌てふためき、逃げ惑う。悲鳴と泣き声が渦を巻く。バビロンの神々はどこへ行ったのか。金銀で飾られたベルやマルドウクは、無残に転がり、泥にまみれている。そこには、かつての栄華の痕跡はなく、ただ恐れと絶望だけが充満していた。私は、この光景を前に、自分の腕をかきむしりたい衝動に駆られた。預言者として、この裁きを告げるべき言葉を与えられていながら、この惨状を見る心の痛みは、何ものにも代えがたい。

やがて、場面は変わる。うねる砂丘と岩肌の荒野。暑さが肌を刺す。ここはエドム、セイルの地だ。暗闇の中、誰かが叫び声をあげる。「夜警よ、夜はどのくらい更けたのか。夜警よ、夜はどのくらい更けたのか」。声には焦りと、どこか諦めに似た響きがあった。すると、闇から答えが返ってくる。「朝は来る。しかし、また夜が来る。もし尋ねるなら、再び来い」。その言葉は、希望というより、延々と続く待機の厳しさを物語っていた。エドムの民には、夜明けは訪れても、真の平安はまだ遠いのだ。彼らは一夜中、目を覚ましているが、救いの知らせは聞こえてこない。私はその会話を盗み聞きするようにして立ち尽くし、胸に込み上げる哀れみをどうすることもできなかった。

再び視点は移り、アラビアのオアシスらしき場所へ。らくだの隊商が木陰で休んでいる。しかし、彼らの顔には平穏がない。水筒を手にしながら、きょろきょろと周囲を見回す。ついに、剣を帯びた者たちが現れ、戦いが始まる。弱い者は逃げ、勇士もまた、わずか一年のうちに減り果てる。キダルの誇り高き射手たちの栄光は、あっけなく散っていく。私は目を背けたいと思ったが、幻は容赦なく続く。

やがて、すべてが霧のように消え、私は自分の部屋の机の前に座っている自分に戻った。灯りは相変わらずゆらめき、夜風が窓から入り込む。額には冷や汗がにじみ、手の指がわずかに震えている。あの光景は、単なる悪夢ではない。主が示された確かな幻だ。

私は羊皮紙を手に取った。筆を執ると、まだ震える手で言葉をしたため始める。「荒れ野からの幻について」。一字一句、あの光景を言葉に写し取る作業は、重い鉄の鎖を引きずるようだった。バビロンの陥落、エドムの不安、アラビアの没落。これらはすべて、驕る者への警告であり、主の御手の確かさを示すしるしである。

書き終えると、外はまだ暗かった。夜明け前の一番深い闇の時。私は窓辺に立って、東の空を見つめた。やがて朝は来る。しかし、幻の中の夜警の言葉が耳に残る。「朝は来る。しかし、また夜が来る」。この言葉は、単なる待機以上のものを含んでいた。それは、人の世の儚さと、主の時が全てを支配するという厳粛な真実を、静かに、しかし力強く告げているように思えた。

私はため息をついた。預言者の務めは、時にこうした重い真実を担うことだ。それを民に伝え、悔い改めを促す。しかし今夜、私はただ、この静かな闇の中で、幻に見えた者たちの嘆きを思い、主の憐れみを静かに祈るだけだった。遠くで、雄鶏の声が一つ、かすかに聞こえた。夜は、まだ更けている。

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