ユーフラテス川の流れは、慣れない色をしていた。夕陽が沈む頃になると、水の表面は青ではなく、どこか鈍い鉛色に染まった。その川岸に、私たちは腰を下ろしていた。柳の枝が時折、ゆっくりと風に揺れる。この土地の柳は、故郷のものより葉が厚く、ざらついているように見えた。
アビヤフは膝の上に琴を横たえたまま、じっと水の流れを見つめている。彼の指は弦の上に置かれているが、もう長いこと、一つの音も奏でていない。私たちの中で最も年長の楽師であった彼は、この三年間、一度として喜びの歌を口にしなくなった。その代わりに、夜になるとかすかな、唸るような節をつけて、私たちに聞こえないように祈り続ける。それは祈りなのか、それとも呪いなのか。誰も彼に問うことはできなかった。
「歌え。さあ、シオンの歌を一つ。」
見知らぬ顔の衛兵が、いつものようにからかい半分にそう言って通り過ぎた。彼らのアクセントは、私たちの舌には重く、無骨に響いた。若いマタンが思わず拳を握りしめたのを、私は横目で見た。彼は喉を鳴らし、目を伏せた。歌うことができなかった。いや、歌うことを拒んだと言うべきか。
その時、アビヤフがゆっくりと顔を上げた。彼の頬には、いつものように乾いた土埃が幾筋もついていた。あるいはそれは、涙の跡なのかもしれない。
「わたしたちは、どうして異教の地で、主の歌を歌うことができようか。」
彼の声はかすれ、川のせせらぎにほとんどかき消されそうだった。
「エルサレムよ。もしも、わたしがあなたを忘れるなら、わたしの右手はその技を忘れよ。」
彼はそう囁くと、今度ははっきりとした声で、私たち全員に向けて言った。
「琴を、あの柳の枝に掛けよう。求められても、もう歌わない。主への賛美は、主がお選びになった都でこそ捧げられるものだ。ここは…ここは、歌が死ぬ土地だ。」
その言葉に、私たちは互いの顔を見交わした。そして、無言でそれぞれの楽器を近くの柳の低い枝にかけ始めた。革の紐がこすれる音だけが、不必要に大きく響いた。楽器を木に預けることは、魂の一部をこの異国の土に置き去りにすることのように感じられた。しかし同時に、ある奇妙な解放感もあった。もはや、からかわれるために引きずり出されることはないのだ。
月が昇り始めた頃、アビヤフはゆっくりと立ち上がり、東の方角へと顔を向けた。彼方には何も見えない。見えるのは、バビロンの壮大な宮殿の輪郭と、無数に点在する家々の灯りだけだ。しかし、私たちは皆、彼が見つめている先を知っていた。そこには、石も木も残っていない廃墟がある。記憶の中の、煙に巻かれて消えていった都がある。
「娘バビロンよ、破滅する者よ。」
アビヤフの声は突然、深く、静かな力に満ちた。それは祈りというより、宣言のようだった。
「私たちにしたことを、あなたに仕返ししてくれる者は幸いだ。あなたの幼子を捕えて岩にたたきつける者は。」
マタンが息をのんだ。私は背筋に冷たい戦慄が走るのを感じた。それは、私たちの日々の胸の内に潜んでいた、暗く煮えたぎる感情の言葉だった。屈辱と喪失が、いつしかこのような形で沸き上がってくることを、私たち自身恐れていた。アビヤフはそれを、月明かりの中で、はっきりと声にしたのだ。
しかし彼はそこで終わらなかった。彼は再び、柳に掛けられた自分の琴を見つめ、それから自分の右手を、ろうそくの炎のように揺らめかせながら、ゆっくりと握り、開いた。
「この手が、もしもあなたを忘れ、もしもエルサレムを私の最大の喜びとしなければならぬことを忘れるならば…」
彼は言葉を切った。長い沈黙が流れた。川の音、遠くから聞こえる宴の騒ぎ、虫の声。それらすべてが、彼の未完の祈りを包み込んだ。
「この手は、その技を忘れよ。この舌は、上顎にはりつけ。」
彼はそう言い残すと、その場に座り込んだ。まるで、すべての力を使い果たしたように。私たちは彼の周りに集まり、何も言わずに夜の帳りが降りるのを待った。柳の枝に掛けられた琴たちが、微風にごくわずかに揺れて、かすかな、音のしない響きを立てているように思えた。
その夜以来、アビヤフは実際に歌わなくなった。彼は時折、口の中で言葉を紡いではいるが、それは誰にも聞こえない旋律だった。彼の右手は、相変わらず震えている。かつてはあれほど巧みに弦を操ったその指が、今では何かを掴むことさえ、時折ためらうように見えた。
川の水は相変わらず、慣れない鉛色をしている。しかし、ある雨上がりの朝、私はふと気が付いた。水の流れに、一瞬だけ、故郷の谷間を駆け下りる小川の青いきらめきが重なって見えた。それは一瞬の幻だった。けれども、その時、柳の枝に掛けられた一つの琴が、風に触れてごくかすかではあるが、確かに一音、響いたのだ。それは哀歌でも、復讐の叫びでもなかった。ただ、存在しているという、たった一つの音だった。




