聖書

ぶどう畑の愛の刻印

あの日、ぶどう畑の小道を歩いていた時のことを、今でも細部まで覚えている。風はもう夏の終わりを告げる、乾いた穏やかさを帯びており、ぶどうの房は重たげに垂れ、濃い紫色に熟れようとしていた。彼女は私のすぐ脇を歩いていたが、時折、ふと立ち止まっては葉陰に隠れた実を探す。そのたびに、麻の着物の袖が風に膨らみ、ほのかな没薬と肉桂の香りが漂った。

「ここに来てごらん」彼女が振り返って言った。目は、見つけた小さなぶどうの房を照らして輝いている。「ちょうどいい頃合いよ。甘くて、それでいて少し渋みが残っている。昔、兄さんたちが私を世話してくれた小さなぶどう畑で、よくこういうのを見つけたわ。私がもし、彼らの目を盗んで実を摘めば、怒られるのがわかっていても、つい手を伸ばしてしまったものよ。」

彼女はそっと実をもぎ、私に差し出した。その仕草の中に、遠い少女時代の無邪気さと、どこかいたずらっぽさが垣間見えた。私はその実を受け取り、口に入れた。確かに甘く、そしてほのかな渋みが、かえって味に深みを与えていた。

「あの頃はただ甘いものが食べたかった」彼女は再び歩き出しながら、ゆっくりと語り始めた。「でも今は違う。この渋みも、待つ時間も、全部ひっくるめて愛おしいと思う。まるで…」彼女は言葉を探すように空を見上げた。「まるで愛みたい。初めは激しいばかりで、一刻も待てない気持ちでいっぱいだった。でも、今こうしてあなたと並んで歩いていると、この愛はもっと深く、もっと強固なものだと感じる。嵐のようにすべてをなぎ倒すものではなく、この大地のように、すべてを支え、育むものだって。」

彼女は私の手をしっかりと握った。その力は、ただの情熱ではなく、確固たる意志を感じさせた。「どうか、私をあなたの心の上に、印章のように刻みつけてください。腕に彫りつけてください。愛は死のように強く、熱愛はよみのように容赦がないから。その炎は、激しい炎であり、多くの水でさえ消すことはできない。洪水でさえ、それを押し流すことはないのだから。」

その言葉が、静かなぶどう畑に溶け込んだ。私は返す言葉が見つからなかった。彼女は、愛というものを、私が考えるよりもはるかに確かな、この世界を構成する理(ことわり)のように捉えていた。それは移ろいやすい感情ではなく、天地が存在するのと同じくらい根本的な力なのだと。

やがて私たちは、小高い丘の上にある小さな石壁に腰を下ろした。そこからは、彼女の一族が所有するぶどう畑と、その隣に広がる、手入れの行き届いた別の畑が見渡せた。彼女は遠くを見つめ、懐かしそうに言った。
「私は自分のぶどう畑を、よく守ってきたつもりよ。でも、あの隣の畑を見てごらん。手入れが行き届き、実りも豊かだわ。私が今、あなたと分かち合おうとしているものは、まさにあのような豊かさなの。自分の所有物に固執して、枯らしてしまうよりも、大切な人とともに手入れし、収穫を喜び合う方が、どんなに実り多いか。」

彼女は、自分の内側にある豊かさを、惜しみなく分け与えようとしているのだ。それは物質的な所有物ではなく、彼女自身の魂の深みから湧き出るものだった。
ふと、彼女は私に寄りかかり、ささやくような声で言った。
「ソロモンはあの王のぶどう畑を持っている。千の銀貨を支払って管理する者がいる。でも私のぶどう畑…私自身のものは、私自身の前に差し出されている。あなたは、ソロモンよ、千の銀貨を自分のものとし、二百をその実りを守る者に与えればいい。」

そこには、あの偉大な知者ソロモンでさえ計り知れない、一つの小さく、しかし揺るぎない王国があるという誇りがあった。それは彼女自身の心であり、その心を、彼女は私に委ねようとしていた。

日は西に傾き始め、ぶどう畑に長い影を落とし始めた。彼女は立ち上がり、今度は私を引き立てながら言った。
「もう行きましょう。風が冷たくなってきた。でも、あなたが私の園に来て、その香り高い実を味わってくれるなら、私は嬉しい。私の愛する人よ、さあ、出かけましょう。朝の風がそよぎ、影が逃げ去るまで。そして、私を連れて行ってください。あなたと共に走っていけるように。」

私たちは小道を下り始めた。彼女の声が再び響いた。今度は少し切実で、願いを込めた調子だった。
「どうか、私を逃がさないで。私をしっかりと支えていてください。愛が強く、目覚めているあの日々のように。この愛を覚えていて。なぜなら、それは嵐の前の静けさであり、命の源そのものだから。」

彼女の言葉は、ぶどうの葉を揺らす夕風とひとつになり、私の胸に深く沈んでいった。この歩み、この沈黙、この交わされた言葉の一つひとつが、あの印章のように、私という存在に刻まれていくのを感じた。それは、多くの水にも、洪水にも流されない、確かな刻印だった。やがて暗がりが増す畑の向こうに、ともし火の灯りが幾つか見え始めた。私たちは、その灯りを目印に、静かに歩を進めた。

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