夕映れがユダの丘陵を赤く染めていた。私は、粗末な小屋の陰に腰を下ろし、目を閉じた。すると、風が変わった。乾いた砂の匂いから、腐敗した水と鉄錆の臭気へ。耳を澄ませば、遠くに聞こえていた羊の鈴の音は消え、代わりに喧噪が押し寄せてくる。ざわめき、笑い声、そして――苦悶の叫び。主の霊が私を圧した。見よ。幻が始まる。
そこは大川の畔の都、ニネベだ。その威容は天を衝かんばかりにそびえ、城壁は太陽の光を浴びて銅のように輝いている。しかし、その輝きは偽りだ。壁の根元は、ひび割れ、黒ずんでいた。私は近づき、触れた。指先に伝わったのは、ぬるりとした湿り気。手を離して目を上げれば、それは血であった。滴り、流れ、壁面を這い落ちる、生々しい血潮。通りには商いが溢れ、人々は華やかな衣を纏い歩いている。だが、彼らの足元を見よ。舗石の隙間は深紅に濡れ、ひどい場所では、乾ききらない血の水たまりが、靴を汚している。誰も気に留めない。いや、気づいているのに、見ないふりをしている。ここは、流血の町。偽りの商いと、奪い取られた財宝で満ちている。主が言われる。「わざわいだ。血の町は。ことごとく偽りで満ち、暴虐で満ち、奪うことをやめない。」
幻はさらに深く侵食する。広場の中央に、巨大な偶像が据えられている。金と象牙で飾られた、獰猛な獣の形をした神々だ。その前で、祭司と称する者たちが、奇怪な踊りを繰り広げる。太鼓の音は狂おしく、笛の音は耳を劈く。そして、彼らが捧げるものは――幼子たちの喘ぎだ。煙の柱と共に立ち上るのは、無辜の者たちの最後の息。主の怒りが、幻の中の空を真っ赤に焼いた。「娼婦の巧みな淫行によって、国々を売り、氏族を売り、妖術で諸族を惑わした、この麗しき女にわざわいあれ。」
突然、光景は一変する。栄華を極めた都が、一瞬のうちに剥き出しの恥を晒す。城壁は崩れ、楼閣は焼け落ちる。歓楽に耽っていた貴族や将兵の華麗な衣が、無残にはぎ取られる。彼らは震えながら、裸で街中を引きずり回される。かつて彼らが捕虜にした者たちが、今は彼らを指差し、あざ笑い、唾を吐きかける。主は言われる。「見よ。わたしはお前に立ち向かう。お前の衣の裾を顔にまくり上げ、国々に恥体をさらし、王国に醜態を見せる。」 腐った肉の臭いが鼻を突く。見上げれば、屍体が鳥たちの餌食となり、糞が偶像の顔や、黄金の装飾を汚している。誰も追い払わない。かつての権威は地に落ち、この町は、忌むべきもの、見るも無残なものとなった。通りかかる者は皆、唇を噛み、目を背ける。「ニネベは、むなしい。誰が彼女を悼もうか。」
幻はさらに遠くへ飛ぶ。ナイルの畔の町、ノ・アモン(テーベ)を映し出す。彼らもまた、強大であった。海と水が城壁となった。エチオピアとエジプトがその力となり、プトとリビアが援軍となった。だが、彼らも捕らえられ、幼子たちはとこしえの石に脳を砕かれ、貴族たちはくじ引きで分け与えられ、武士たちは縄で繋がれて行った。あの力強い町でさえ、こうなった。ニネベは、彼らよりまさるとでもいうのか。
再び視点はニネベに戻る。今や、町は恐怖に凍り付いている。備えよ、と叫ぶ者がいる。水門を固めよ、砦を急ぎ立てよ、粘土を練れ、煉瓦の型を取れ。兵士たちは慌てふためく。だが、その動きは空しい。主の炎が彼らを食い尽くす。剣はイナゴのように群がり、隊長は大イナゴのように柵に身を寄せるが、太陽が現れれば、翅を震わせて飛び去り、その跡は知れない。
支配者たちはどこにいるのか。彼らの顔には、死んだ者のような青白さが漂う。臥せり、地に着いて動かない。民は山々に散らされ、集める者もいない。傷は癒えず、打ちひしがれる。あなたの悪の知らせを聞く者は皆、あなたのことで手を打って喜ぶ。誰が、お前の絶え間ない残酷さを、経験せずにいられようか。
幻は去り、私は再びユダの丘陵の夕闇の中にいた。頬を伝う汗は冷たくなり、膝は震えていた。主の言葉の重さが、全身に残る。裁きは必ず来る。主は忍耐強い方だが、罪の杯が満ちれば、それは必ず傾けられる。ニネベの滅びは、単なる一国の興亡ではない。すべての高ぶり、流血の残忍さ、偽りに満ちた栄華に対する、天地を造られた方の、抗いがたい宣言だ。
私はゆっくりと立ち上がり、羊たちのいるほうへ歩き出した。遠くで、一匹の子羊が寂しげに鳴いている。その声は、やがて来る哀歌の、かすかな先触れのようにも聞こえた。




