聖書

汚れた衣から清い衣へ

夜明け前の静けさが、神殿の廃墟を包んでいた。冷たい石の残骸の間を、ゼカリヤの足音だけがこだまする。捕囚からの帰還から数年、再建は進まず、人々の心も荒廃したままのように思えた。彼はうつむき、祈るような歩調で進んだ。すると、突然ではなかった。むしろ、次第に視界が霞んで、現実の輪郭が溶けていくのを感じた。空気が重くなり、立ち上る霊的な圧力に膝が少し震えた。

目の前に、法廷らしき空間が浮かび上がった。だが、それは地上のどの裁判所とも違う。輝きに満ちた、しかし厳粛な空虚が広がっている。その中央に、一人の男が立っていた。大祭司ヨシュアだ。彼の顔は疲弊し、肩には捕囚の塵と、自らの民の絶望がこびりついていた。何より目を引いたのはその衣だった。かつての祭司の礼服の名残はあるが、今は脂と灰にまみれ、ぼろぼろに裂けている。祭壇の犠牲の血とも、焼け落ちた都の煤ともつかぬ汚れが、布地の模様を覆い尽くしていた。彼はうつむいたまま、一言も発さない。

そして、ヨシュアの右手わずかに離れたところに、もう一つの存在がいた。言葉にするのが憚られる、ねじれた影のようなもの。サタンだ。その姿は定まらず、嘲るようなささやきが空間に絡みつく。「見よ。これが選ばれし大祭司か。指一本、聖なるものに触れる資格もないこの男を。彼の衣は彼の罪を示し、彼の民の背きを物語っている。彼は告発されるに値する。」その声には、真理の一片が毒のように混ぜられていて、ゼカリヤの胸も締め付けられた。確かに、ヨシュアの姿は惨めだった。サタンの言うことも、一面では正しかった。

その時、輝きが増した。主の使いが、裁き手として臨在された。その御顔を直視することはできなかったが、ゼカリヤは目を伏せながらも、その圧倒的な慈愛と威厳を皮膚で感じ取った。使いは、サタンの方へと、ゆっくりと顔を向けられた。

「サタンよ。主が彼を責める。この者こそ、火の中から取り出された一本の柴ではないか。」

その言葉は、雷鳴のようにも、またそよ風のようにも聞こえた。告発は退けられた。理由は、彼の行いの清さではなく、主の選びそのものにあった。燃えさかる火の中から、かろうじて引きずり出された一本の柴。エルサレムの滅びの中から、奇跡的に生き残った残りの者。その存在自体が、既に神の憐れみの証しであった。サタンの影が後ずさり、それ以上の言葉を発することができなくなったのがわかった。

次に、使いはヨシュアに向けられた。
「彼の汚れた衣を脱がせよ。」

すると、仕える者たちらしき光の存在が現れ、ヨシュアに近づいた。ヨシュアはわずかに身を引いたが、すぐに抵抗をやめ、頭を深く垂れた。彼らの手が汚れた衣の端に触れると、その衣はまるで長年の重荷のように、ずるりと剥がれ落ちた。ゼカリヤは息をのんだ。衣の下のヨシュアは、予想以上にやつれ、無防備だった。罪の表象が取り除かれた時、そこに残るのは、赤裸々な人間そのものの弱さであることに、彼は気づかされた。

使いの声が再び響いた。
「見よ、わたしはあなたの咎を取り去った。そして、晴れ着を着せよう。」

新しい衣が運ばれてきた。それはかつて見たこともないほど白く、光を柔らかく反射する。細やかな刺繍が施され、祭司としての威厳が静かに刻まれている。仕える者たちがそれをヨシュアの肩にかけると、布地がかすかにそよぐ音がした。ヨシュアはゆっくりと顔を上げた。その目には、信じられないという色と、そして、沸き上がる感謝の涙があふれんばかりだった。汚れと恥の衣が、祝福と尊厳の衣に変えられた。この変容は、単なる外見の変更ではなかった。彼の存在そのものに対する神の宣言であった。

ゼカリヤは、この情景が単にヨシュア個人のためだけでないことを悟った。それは帰還した民全体、いや、神の前に立つ全ての者のための預言的な劇だった。主は、私たちが自分で身にまとうことのできなかった義を、ご自身で着せてくださる。ただ、私たちがその汚れた衣を、脱ぎ捨てることを許すだけで。

そして、使いはさらに言葉を続けられた。
「もし、わたしの道に歩み、わたしの務めを守るなら、あなたはわたしの家を治め、わたしの庭を守る者となる。わたしはあなたに、ここに立っている者たちの中を歩む権威を与えよう。」

約束は続く。それは責任と特権の両方を伴うものだった。しかし、ゼカリヤの注意は、次の言葉に強く引き寄せられた。
「大祭司ヨシュアよ。あなたも、あなたの前に座っている仲間たちも、しるしとなる者たちだ。見よ、わたしはわが僕、『若枝』を来たらせる。」

ここで、視界が再び揺らぎ、焦点が一点に集まった。ヨシュアの前に、一枚の石が現れた。それは切り出されたばかりの、ざらりとした表面を持つ石だった。しかし、使いがそれに言及されるやいなや、石の表面に、七つの目が浮かび上がった。それは文字通りの目ではなく、全知とも思われる、生きている注視そのものが刻まれたようだった。七つ――完全数である。主の知恵と監視のすべてが、この石に込められている。
「見よ、わたしはこの一つの石の上に刻みを入れよう。そして、この地の咎を、たった一日のうちに取り除く。」

その宣言は、あまりにも途方もなく、ゼカリヤの理解力を超えていた。一枚の石。一日。全地の咎。これは、人の手による清めをはるかに超えた、神ご自身の決定的な介入を告げる言葉だった。その石は、やがて来るべきあるお方、つまり「若枝」を指し示しているように思えた。彼によってのみ、罪の根本的な解決がもたらされるのだ。

視界がぼやけ、法廷の光景は薄れ始めた。最後にゼカリヤが見たのは、清い衣をまとい、顔に静かな決意を宿したヨシュアの姿だった。彼はもはや、告発されるべき罪人ではなかった。主の恵みによって立つ、約束の祭司であった。

現実の冷気が頬に触れた。ゼカリヤは廃墟のただ中に、一人たたずんでいた。朝日が東の山並みから差し始め、崩れた石垣に淡い金色を塗っていた。彼の心は、言葉にならない感慨で満たされていた。確かに、私たちの衣は汚れている。私たちの過去は重い。告発者の声は耳元でささやく。しかし、主の法廷では、告発よりも選びが、罪よりも恵みが、最後の言葉として響く。そして、あの七つの目が刻まれた石が示すように、究極の清めは、私たちの努力ではなく、神の一方的なみ業によって、完璧な一日にもたらされるのだ。

彼はゆっくりと歩き出した。足取りには、まだ震えが残っていたが、どこかに希望の重みが加わっているのを感じた。これを人々に伝えなければならない。汚れを取り除かれる体験を。たとえそれがビジョンの中のことでも、その現実は、この荒廃した地にも、確かに始まっているのだと。

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