聖書

復活を証す鎖の声

カイサリアの港には、いつもより濃い塩の香りが漂っていた。午後の炎暑が石畳に蓄えられた熱を放出し、ゆらめく蜃気楼が遠くの軍艦を歪ませている。獄舎の一室は、厚い壁に守られてひんやりとしていたが、隙間から差し込む細い光の筋に無数の塵が舞い、かえってここが動かない時間に囚われた場所であることを強調していた。

パウロは壁に手を触れた。石の粗い表面、わずかな湿り気。彼は目を閉じ、エルサレムの神殿の喧騒、そして暴徒の怒号を思い出した。今ここにいること自体が、不思議というほかなかった。ローマの兵士たちに守られるようにして連れ出され、夜を徹した行軍。それは保護であったか、それとも別の形の捕囚であったか。彼の心は静かだった。しかしその静けさは、諦めから来るものではなく、長い年月をかけて鍛えられた、嵐の中心のようなものだった。

「総督は、五日後に審理を行う」

看守の声は、鉄の扉の向こうから鈍く響いた。パウロはうなずいたが、相手には見えまい。五日の間、この部屋で過ごすことになる。時間は豊富にあった。祈るためにも、考えるためにも。彼は床に座り、巻物を広げるまねをした。手元には何もないが、心の中には詩篇の一節が浮かんでくる。彼はつぶやいた。「わが避け所、わが砦。わが神、わが頼み。」

その一方で、彼の頭脳は別の働きをしていた。エルサレムから大祭司アナニアと数人の長老が、弁護士なる者を伴ってやってくるという。テルトロスという名の、ローマの法手続きに通じた男だ。彼らはどんな訴因をでっち上げるだろうか。暴動の扇動?神殿の冒涜?あるいは、ローマへの反逆という、もっとも重い罪を彼になすりつけようとするか。パウロの唇がわずかに緩んだ。彼はローマの市民であった。そして何より、彼が仕える法は、彼らのそれよりも古く、かつ新しい。

五日目、朝早くから兵士たちが彼を連れ出した。鎧の金属が冷たく触れ合う音。足枷の鎖の重い響き。彼らは総督府の広間へと彼を導いた。部屋は高い天井を持ち、床は色大理石が敷き詰められていた。窓からは地中*海の青が鮮やかに見える。豪華な場違いさが、パウロの粗末な衣服を一層際立たせた。

総督ペリクスは、一段高くなった壇上の椅子に座っていた。彼の顔は洗練され、長く官僚を務めてきた者の、何にも動じないような疲れを内に湛えている。その横には、ドルシラと聞く、ユダヤ人である妻が着席していた。彼女の瞳には、好奇と、どこか退屈そうな色が混ざっていた。

告発者たちが入ってきた。アナニアの顔は厳格で、尊大さに満ちている。彼の傍らに立つテルトロスは、反対に、計算尽くされた慇懃さを身にまとっている。ローマ式のトガをまとったその男は、一礼すると、流暢な口調で話し始めた。

「ペリクス閣下。閣下の英明なる統治により、この地に大いなる平和と改革が齎されていることを、われらユダヤ国民は深く感謝しております」

彼の言葉は滑らかで、まるで練り油のようだった。パウロはそれを聞きながら、心の中で別の声を聞いていた。『彼らの口は滑らかな言葉を語るが、その心には偽りがある』。テルトロスの弁舌は続く。パウロを「疫病のような男」「世界中のユダヤ人の間に騒動を引き起こす者」「ナザレの一派の首領」と呼び、ついには「神殿を汚そうとした」とまで言い募った。言葉巧みに、政治的危険人物という印象を総督に植えつけようとしている。

やがて、テルトロスが「われらが申すところは、ご自身お調べになれば明らかになります」と結ぶと、場の空気が一瞬変わった。告発者たちの視線が、一斉に壇上のペリクスへと集中する。

総督は微かにうなずき、パウロに向かって手振りをした。「告発を聞いた。お前、弁明するか」

広間が静まり返った。窓から聞こえるのは、遠い波の音だけだ。パウロは一歩前に出た。足枷の鎖がちゃり、と乾いた音を立てた。彼はまず、総督に向かって一礼した。その動作は、テルトロスのそれとは全く異なり、権威への敬意は示しているが、卑屈さは微塵もなかった。

「閣下。閣下が多年にわたりこの国民を裁いてこられたことを知っています。それゆえ、私は喜んで弁明いたします」

彼の声は、牢屋の湿気で少し嗄れていたが、芯はしっかりと通っていた。一言一言が、石を積み上げるように確かだった。

「あなたがお調べになれば、エルサレムに上ってから今日に至るまで十二日しか経っておらず、かつ、私は誰とも論争もせず、宮でも、会堂でも、町の中でも、群衆を騒がせたりすることはなかったことが、おわかりいただけます」

彼は事実を淡々と述べた。騒動は、アジアから来た幾人かのユダヤ人たちが引き起こしたものであること。そして彼らが今ここにいないこと。次に、彼の信仰の核心へと話を移した。

「しかし、私は『この道』に従っている者であることを、閣下に告白いたします。わたしの先祖の神に仕え、律法と預言者たちの書に書いてあることをことごとく信じ、正しい者も正しくない者もやがてはよみがえるという、この神に対する希望を抱いている者として」

ここで彼の言葉に、初めて熱がこもった。それは、政治的な弁明を超えた、確信の宣言だった。

「それゆえ、私は、神に対しても人に対しても、常に良心のとがめのないように努めています」

彼は、エルサレムでの目的が供え物を献げることと誓願を果たすことだったと説明し、汚れたことは何一つしていないと断言した。そして、静かに、しかし鋭く核心を突く言葉を加えた。

「もし私に何か咎めがあるとすれば、『死者の復活について』、私は今日、あなたがたの前で審きを受けている、という一点だけです」

広間が水を打ったように静かになった。パウロの言葉は、彼らの告発の矮小さを、神学的な巨大な争点へと一気に昇華させていた。死者の復活――それは、彼らサドカイ派の者たちが否定し、パリサイ派が信じる点だ。彼は巧妙に、自分がユダヤ教内部の正統な論争の只中にいる者であることを示したのだ。

ペリクスの表情が微妙に動いた。彼はこの問題を知っていた。ユダヤ人の神学論争について、ある程度の知識はあった。この問題でローマの法廷が深入りするのは賢明ではない。彼は時間が必要だと感じた。

「千卒隊長ルシヤの到着を待って、この事件について決定を下そう」

彼の宣告は、先延ばしだった。パウロを監視下に置きつつ、比較的自由を与えよ、との指示が付いた。それはパウロにとって、ある種の勝利であった。少なくとも、すぐにユダヤ人たちの手に引き渡されることはない。

その後、ペリクスは度々パウロを呼び出し、キリストの教えについて聞いた。公な場ではなく、私室でだ。パウロは、義と節制と、やがて来る審判について語った。総督は聞き入り、時には議論もしたが、その目は常に計算めいていた。彼はパウロから賄賂を期待しているふしがあり、またユダヤ人たちの歓心を買うためにも、彼を解放するわけにはいかない、という思惑が働いていた。

ある午後、パウロが再びペリクスの前に立った時、総督はふと尋ねた。

「復活ということを、お前はどのように証明できるのか」

パウロはしばらく黙ってから、ゆっくりと答えた。

「証人です。何百という、まだ生きている証人たちがおります。そして何より、この私が、かつて復活を信じず、むしろ信じる者を迫害した者が、今こうしてあなたの前に立って証言していること自体が、一つの証左ではありますまいか」

ペリクスは黙ったままだった。彼の妻ドルシラが、部屋の隅で息をひそめて聞いていた。彼女の顔には、憧れと恐怖が入り混じった、複雑な色が浮かんでいた。

日々は過ぎ、二年という歳月が流れた。パウロは監視下にあったが、友人たちと会うことを許され、必要な物を受け取ることができた。彼は書簡を書き、訪れてくる者たちを励ました。カイサリアの港町は、彼の次の旅路への、長い長い待合室となった。

ペリクスが失脚し、後任のフェストゥスが着任した時、ユダヤ人たちの要求は再び燃え上がった。しかし、その時点でパウロは、すでにローマ皇帝への上訴を決意していた。神の摂理は、彼をエルサレムからカイサリアへ、そしてついにはローマへと導く、一本の確かな道筋を描き始めていた。

留置場の小さな窓から、夕日が差し込む。パウロはまた壁に手を当てた。石は相変わらず冷たかったが、その冷たさの中に、どこか確かな土台の感触を感じた。彼はここに留められているが、彼の言葉は、鎖に縛られることなく、この部屋をすでに飛び出していた。波の音が、やがて来る船出を告げるかのように、遠くから聞こえてきた。

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