聖書

二つの丘と知恵の重み

その町には、二つの丘があった。一つは南にあり、堅い岩盤の上に立つ富裕な者たちの屋敷が夕陽を浴びて輝く。もう一つは北の丘で、粘土質の土が雨のたびに滑り落ち、貧しい者たちが肩を寄せ合うようにして暮らしていた。その二つの丘の間に、役所と呼ばれる長屋のような建物がぽつんと建っていた。その役所で、四十年近く書記として過ごしたエリアブは、今、北の丘へと続く道で立ち止まっていた。彼は懐から皺くちゃになった紙片を取り出し、目を細めて読み返した。「愚かなる者は左の手に働き、しかも右の手を損なう」。彼はため息をつき、紙をしまった。これは、彼が長年にわたり書き留めてきた、あの王の言葉の一つだった。

エリアブの記憶は、はるか昔、彼がまだ若い書記見習いだった日にさかのぼる。老いた先代の王が、息を引き取る直前に、むせび泣くような声でつぶやいた言葉を、彼は記録した。「死蝿は香油を作る者の香油を臭くし腐らせる。そうして、少しの愚かさは、知恵と誉れの多い者を重くする」。その時は意味がよくわからなかった。しかし今、彼の背中に重くのしかかる歳月とともに、その重みが骨の髄まで染み渡っていた。

北の丘では、新しい指導者、ヨアブの工事が始まっていた。ヨアブは南の丘の出身ではなかった。むしろ、どちらかといえば北の出身だったが、ずる賢さと大声で他人を圧倒する話術で、町の代表に選ばれた男だ。彼が掲げた公約は、「北の丘に、南にも負けない堅固な石の家を建て、すべての道を舗装する」というものだった。町の人々は、その力強い言葉に酔った。

最初の失策は小さかった。道を舗装するための石材を、南の丘からではなく、遠くの谷から運ぶ業者をヨアブが選んだことだ。彼はその業者と何度か酒を酌み交わしていたと、誰かが囁いた。石材は脆く、最初の冬の霜でひびが入った。「愚かなる者は、高き所に登り、富める者は低き所に座する」。エリアブは、役所の窓からそのひび割れた道を見つめ、紙切れに走り書きした。彼が見た夢では、高慢な者が滑り落ちる崖が、いつも北の丘の急斜面と重なった。

そして、大きな事業が始まった。北の丘に石の家を建てるため、基礎工事が着工された。しかしヨアブは、地質調査を省いた。むしろ、「我々の信念が地盤を固める」と演説した。エリアブは恐る恐る、古い記録を調べ、その土地が粘土と砂の層で、とても重い石造建築に耐えられないことを知っていた。彼は報告書を書いたが、ヨアブはそれを一瞥もせずに笑い飛ばした。「老人の憂い顔は町を暗くするだけだ」と。

工事は進んだ。最初の数軒が建ち上がった頃、長雨が続いた。エリアブは、毎晩、土の匂いが雨に混じって強くなるのを感じていた。ある晩、地鳴りのような低い音とともに、最初の家が傾いた。粘土層が水を含んで緩み、基礎ごと滑り落ちたのだ。続いて二軒目、三軒目。せっかく建てた家々は、ひどく傾くか、あるいは崩れ落ちた。けが人は出た。幸い、死者はいなかった。

町中に怒りの声が渦巻いた。人々はヨアブの屋敷に押しかけようとした。その時、エリアブは役所の戸棚から、一枚の羊皮紙を取り出した。それは先代の王が、自分自身の失敗を記して彼に託した私的な覚書だった。そこにはこうあった。「穴を掘る者はみずからそれに陥る。石を除ける者はみずそもそれに咬まれる。石を割る者はそれによって傷つけられ、木を割る者はそれによって危険にさらされる」。

彼はその紙を手に、崩れた家々の前で茫然とする人々の群れの中に歩み入った。ヨアブは、蒼白な顔で弁明しようとしていたが、声はかすれて聞こえない。エリアブは、羊皮紙を掲げるでもなく、ただ静かに、しかしこれまでになく大きな声で、先代の王の言葉を引用した。「鉄が鈍る時に、人がその刃をとがらせないなら、その力は増さなければならない。しかし知恵は人を成功させるのに有利である」。

騒ぎは少しずつ静まった。人々は、この老書記が、長い沈黙の後で初めて公の場で発した言葉に耳を傾けた。それは直接的な非難ではなかった。しかし、鈍った斧の刃で大木を切り倒そうとする愚かさ、それこそが招いた災いだという事実を、誰の心にも思い起こさせた。

結局、ヨアブは代表の座を追われた。後任がどうなるかはまだわからない。エリアブは、再び北の丘への道を歩いていた。壊れた家の残骸が雨に濡れ、哀れな光景をさらしている。彼は、もう一枚の紙片を見つめ、唇を動かした。「あなたの王が幼子らであるときはわざわいだ。あなたの君たちが朝ごとに宴を設けるときはわざわいだ」。

彼は丘の中腹で振り返り、町を見下ろした。南の丘は相変わらず静かで威厳があり、北の丘は傷つき、悔しさに満ちている。知恵と愚かさ。それは南と北の問題ではなく、人の心の内側で絶えず繰り広げられる、地盤調査のようなものなのだと、老書記は思った。しっかりと岩盤を見極めず、見かけの堅さだけで建てたものは、いつか必ず傾く。たとえそれが、どちらの丘の上であろうとも。

彼は最後に、覚えている中で最も古い王の言葉を口にした。それは問いかけの形をしていた。「へびが咬むなら、まじないをする前にどうすればよいか」。答えは書かれていなかった。エリアブは、長い生涯をかけて、その答えを見つけた気がした。まじない師を呼ぶ前に、まず、へびのいる場所に無防備に足を踏み入れないこと。それこそが、ほんの少しの、しかし決定的な知恵というものなのだと。

風が、瓦礫の間を吹き抜け、あたかも溜息のようだった。エリアブはゆっくりと歩き出した。彼の背中は、知恵の重みで、いつもより少し曲がっているように見えた。

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