エウクラティデスの工房から漂う鈍い金属の匂いは、夕暮れの冷気に混ざり、アレクサンドロスの鼻腔に染みついていた。一日の労働を終え、革のエプロンを外しながら、彼は遠くの広場から聞こえる群衆の喧騒に耳を澄ませた。またか、と思った。ローマの神々への捧げ物を拒む者への嘲りの声が、風に乗って断片的に届く。彼自身、この数週間、取引先から注文を断られることが増えていた。かつては繁華な街角で営んでいた小さな青銅細工の店は、今ではこの人目につきにくい路地裏に移さざるを得なかった。理由は一つ。彼が「道」の人、つまりキリストを信じる者だからだ。
家路につく途中、彼は妻のリディアと七歳になる息子マルコスの顔を思い浮かべた。マルコスが先日、遊び友達から「父さんは変な神を拝んでる」と言われて泣いて帰ってきた夜のことを、彼は忘れられなかった。その時、アレクサンドロスは胸に沸き上がる無力感をどうすることもできず、ただ息子の頭を撫でて、「わたしたちの神は見ておられる」と呟くしかなかった。しかし、その言葉はどれほど自分自身を納得させられただろうか。見ておられるなら、なぜこのような苦しみが続くのか。なぜ悪意を持つ者たちがのさばり、誠実に働き、ただ真実を信じる者たちが嘲られるのか。彼の祈りは最近、疑問の繰り返しのように感じられることが多かった。
家に着くと、リディアが珍しく興奮した面持ちで彼を迎えた。「アレクサンドロス、シラスの知り合いからこれが届いたの」彼女が差し出したのは、いくらか擦り切れた羊皮紙の巻物だった。テサロニケにいる兄弟たちへ、との書き出し。パウロの名があった。彼らの共同体を導いた、あのパウロからだ。アレクサンドロスの心臓が早鐘を打った。
蝋燭の灯りを近づけ、家族で床に座り、彼は声を出して読み始めた。工房で鈍く痛む肩の筋肉が、言葉とともに次第にほぐれていくのを感じた。パウロはまず、彼らの信仰がどれほど成長しているか、互いの愛が増し加わっているかを書き記していた。アレクサンドロスはハッとした。自分はこの苦難ばかりに目を向け、共同体の内で静かに燃え続けている信仰の灯りを、むしろ当たり前のように思っていたのではないか。リディアが貧しい隣人にパンを分け与える姿、マルコスが幼い口調で覚えたばかりの祈りを捧げる姿――それらが、この圧迫の中でもなお育ち続けている「命」そのものだった。
そしてパウロは書く。今の患難は、神の正しい裁きにふさわしい者とされるためである、と。アレクサンドロスは目を上げ、暗い窓の外を見つめた。裁き。その言葉には厳しい響きがあった。しかしパウロの筆致は、それを単なる恐れの対象としてではなく、すべてを整えられる神の確かな計画として描いていた。彼は読み進めた。
「……神は、あなたがたを苦しめる者には、患難をもって報い、患難に会っているあなたがたには、わたしたちとともに、安息をもって報いて下さるであろう。それは、主イエスが炎の中で力ある御使たちを率いて天から現れる時に実現する。その時、主は神を認めない者たちや、わたしたちの主イエスの福音に聞き従わない者たちに報復される……」
炎の中にある御使たち。アレクサンドロスの脳裏に、工房の炉で青白く揺らめく炎のイメージが浮かんだ。あの炎は不純物を焼き払い、青銅を純粋な輝きへと変える。パウロの言葉は、今の苦しみが無意味なものではなく、むしろ一切を見通される神の目の前で、彼らの信仰という金属が試され、練り清められる過程なのだと語りかけているようだった。迫害する者たちへの「報い」についての記述は、確かに厳しい。しかしアレクサンドロスは、それを読んでむしろ安堵のようなものを覚えた。というのも、それは単なる復讐の宣言ではなく、すべての不当、すべての隠された悪意、すべての無視された真実が、決して見過ごされず、神の完全な正義によって清算される時が来る、という確約に聞こえたからだ。その正義は、彼のような者が腹の底で「なぜ」と叫ぶその疑問自体を、きちんと汲み取ってくださる方によるものだった。
彼は最後の部分を繰り返し読んだ。「……また、主の御名が栄光を受けるように、また、あなたがたも主にあって栄光を受けるようにと、絶えずあなたがたのために祈っている。このことは、わたしたちの神の恵みによって実現するのである。」
部屋は静かだった。マルコスは母親の膝の上でうつらうつらしている。蝋燭の炎が一瞬、ぱちりと音を立てた。アレクサンドロスは深く息を吸い込んだ。金属の匂いではなく、夕食の温かいスープの香りが漂っていた。彼の内で何かが整列するのを感じた。疑問は消えなかった。明日もまた、広場での嘲りの声を聞くかもしれない。工房の仕事はますます厳しくなるかもしれない。しかし、それらすべてを包み込む、より大きな現実が彼の前に広がっていた。それは、炉の炎のような神の聖さと、その炎によって決して損なわれることのない、安息という約束だった。
「パパ?」マルコスが眠そうに目をこすりながら言った。「手紙には何て書いてあったの?」
アレクサンドロスは羊皮紙をそっと巻き、リディアと目を合わせた。妻の目にも、同じ静かな確信が灯っているのを見た。彼は息子を抱き上げながら、できるだけ平易な言葉を選んで言った。
「わたしたちが信じている神様は、全部見ていてくださる、って書いてあったよ。パパとママががんばっていること、マルコがお祈りしていること、全部。そして、いつか必ず、すべてをきちんとされる時が来る。それまで……わたしたちは、ただ信じて、待てばいいんだ」
彼の言葉は、自分自身に対する励ましでもあった。完全に理解できたわけではない。しかし、この羊皮紙に込められた言葉は、単なる教えではなく、彼の現実に深く食い入る、生きた知らせだった。路地裏の工房も、不安な取引も、嘲笑の声も、全てはこの確かな約束という文脈の中に位置づけられた。そして彼は思った。真の報いは、単に苦しみが終わることではなく、そのすべてを通して練られ、ついに神の御前で輝くことなのだと。彼は再び、明日の工房の仕事を思い浮かべた。炉の火を起こし、槌を握るその手に、もはや無力感はなかった。ただ、与えられた場所で、与えられた仕事を、真実をもって為すべき時が、今なのだという思いが強く迫ってきた。外は完全に暗くなり、星がチラリと光っていた。




