聖書

正しさの灯り

エルサレムの石板が夕日を受けて淡い桃色に染まる頃、市場の喧噪は次第に収まり始めていた。塵と香料、焼けたオリーブ油の匂いが混じる路地を、ヤロブはゆっくりと歩いていた。一日の取引を終え、革袋には売れ残りの干しイチジクがわずかに残るだけだ。彼はため息をついた。隣の店のアズルは朝から威勢のいい声を張り上げ、安いが質の悪い小麦を山のように売りさばいていた。あのざらついた小麦に十分な水を加えれば、量が増える。騙そうと思えば騙せた。しかし父の言葉が耳朶を打つ。「不正なはかりは主に忌みきらわれる。偽りの分銅は良くない」。ヤロブは自分のはかりの針を、もう一度確かめるように撫でた。

一方、宮殿の奥深く、王ヘツロンは玉座に深く腰を下ろし、目を閉じていた。廷臣たちのざわめきが遠くに聞こえる。今日もまた、領土の境界を巡る争いが持ち込まれた。双方が熱心に言い分を述べ、証人を立てる。王の目は、微かに震える年配の農夫と、滑らかな口調で弁じる若い地主を行き来した。片方の手には、贈り物と仄めかされた銀の細工が隠されている。酒の酔いではなく、権力の酔いが人を狂わせることを、王は知っていた。「ぶどう酒はあざける者、強い酒はやかましい者。これによって迷う者は、知恵がない」。彼の父王は酒に溺れ、判断を誤り、国を危うくした。ヘツロンは静かに息を吸い、証言の細部に耳を澄ませた。真実は、往々にして声高ではなく、震える声の隙間にあるものだ。

ヤロブの家では、息子のエリアスが灯りの下で顎に手を当て、ぼんやりしていた。朝、畑を耕そうにも、冷たい風が肌を刺し、すぐに家に戻ってきた。「怠け者は寒さのゆえに耕さない。それで刈り入れ時に求めても、何もない」。父の言葉が頭をよぎるが、体は重い。彼には、もっと大きなことを成し遂げたいという焦りがあった。友人たちは戦士になったり、隊商に加わったりしている。自分はなぜこんな小さな店番をしているのか。彼は部屋の隅に立てかけられた父の杖を見た。古びているが、まっすぐで堅い。父はそれを「正しき道の杖」と呼んだ。

次の日、市場は異様な熱気に包まれた。北方からの隊商が珍しい紫の染料をもたらしたのだ。アズルはたちまち群衆に囲まれ、あの慣れた大声で値をつり上げた。ヤロブは自分の店で、静かに亜麻布を整えながらそれを見ていた。すると、昨日宮殿で争っていたあの年配の農夫が、うつむき加減で市場を歩いている。どうやら土地を失ったらしい。彼の歩みには、深い諦念がにじんでいた。「人の歩みはみな、自分には正しく見える。しかし主は心をはかられる」。ヤロブは思わず声をかけようとしたが、農夫は速足で去っていった。

その夜、王ヘツロンは露台に立ち、町に灯る無数の灯火を眺めた。一つ一つの灯りに、喜び、悲しみ、誠実、欺きが渦巻いている。彼の裁きが、あの農夫の家の灯を消したかもしれない。胸が痛んだ。「王が罪人を滅ぼすとき、その目は鋭い。悪しき者をことごとく散らされる」。しかし、それは単なる排除ではない。国という大きな体から、腐敗した部分を慎重に切り取る外科医の行為だ。彼は、若い地主から密かに差し出された銀細工を、証拠として保管するよう側近に命じていた。真実は時に遅れて現れる。王の目は、長い時をかけて物事を見据えねばならない。

数日後、エリアスは思い切って父に話した。隊商に加わり、遠い地へ行きたいと。ヤロブはしばらく黙って息子の顔を見つめ、そして店の奥から古い羊皮紙の巻物を取り出した。「良い名前は大いなる富にまさり、恵みは銀や金にまさる」。彼の声は渇いていた。「お前の祖父は何も残さなかった。だが、この市場で『ヤロブの店は嘘をつかない』と言われる名を残してくれた。それがお前への唯一の遺産だ」。エリアスは、父の日に焼けた顔の深い皺に、言葉以外の重い何かを初めて感じた。

そして収穫の季節が近づいたある夕暮れ、事件は起こった。アズルの安い小麦を買った家から、病人が出た。毒麦が混じっていたのだ。市場は非難の声に包まれ、アズルは蒼白になって言い訳を並べたが、誰も耳を貸さない。「違う品物と違う品物、両方を合わせて取引する者は、そのような者を主はことごとく忌みきらわれる」。人々の目は自然と、黙って店先に立つヤロブに向いた。彼は何も言わず、ただうなずいただけだ。その静かな態度が、かえってすべてを物語っていた。

月が三度満ち欠けした頃、エリアスは変わっていた。彼は進んで畑に出て、父の古い杖を手に土地を確かめながら歩いた。ある日、彼はかつて土地を失ったあの老農夫が、宮殿の下働きとして細々と働いているのを見かけた。老人はエリアスに、王が後に真相を究明し、若い地主の不正を暴き、小さな土地だが彼に返還したと語った。ただし、それには時間がかかった、と。「人の魂は主のともし火。それは人の内面をくまなく探る」。王の裁きは、瞬時の激情ではなく、ゆっくりと燃える灯のようなものだったのかもしれない。

冬の風が吹き始める日、ヤロブは店を閉めようとした時、見知らぬ客を迎えた。北方からの商人で、堅実な取引先を探しているという。「人の口が多くの誓いを立てるとき、それは人の滅びを招く。むしろ、一言一句を畏れて」。ヤロブは必要最小限の言葉で、商品を見せた。商人は品物を仔細に検分し、最後に顔を上げて言った。「あなたの評判は、はるか遠くまで届いています」。

その夜、ヤロブとエリアスは灯りの下で食事を囲んだ。話は尽きないが、沈黙もまた心地よい。ふと、エリアスが口を開いた。「父さん。知恵とは、結局なんだろう」。ヤロブは少し考え、干しイチジクを一粒、口に入れた。「それはな、市場の騒ぎをよそに、自分のはかりが正しいか気にかけることだ。そして、それが正しいと分かったら、もうはかりをいじらずに済むことだ」。あまりに単純な答えに、エリアスは笑った。しかし笑いが収まった後、父の言葉の重さが、静かに胸に落ちてきたのを感じた。

宮殿では、ヘツロン王が今日も玉座に着き、新たな訴えに耳を傾けている。窓から差し込む光が、王冠をほんのりと照らす。その光は、市場の一角で黙々と亜麻布を量る老商人の店先に、やがて届く夕日と同じものであった。どちらも、同じ町で、同じ主の目の前で、それぞれの「正しさ」を、日々の塵にまみれながら探し続ける者たちを照らしている。知恵とは、一つの立派な結論ではない。酒に溺れず、嘘のはかりを使わず、人を誘惑するささやきに耳を貸さず、今日という一日を、誠実に生き抜こうとする、地に足のついた営みそのものなのだ。そして、その営みの積み重ねが、ゆっくりと、しかし確かに、人の名と国のかたちを形作っていく。

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