エルサレムの西の丘に、ひときわ古い石の家があった。壁は何世紀もの風雨に色を褪せ、ひび割れている。その屋上の小さな平らな部分、人々が「屋上」と呼ぶその場所で、一人の男が夕闇を待っていた。ハバククという名だった。彼の目は、眼下に広がる都の屋根々々を見下ろしながらも、実際には何も見てはいなかった。見えていたのは、石や木材の景色ではなく、人々の心の荒廃の色だった。
一日の終わりの涼気が、昼の熱気をゆっくりと押しのけ始める。遠くで、羊を連れて家路につく者の笛の音が、かすかに聞こえる。しかし都の路地からは、別の音が立ち上ってくる。争い声。笑い声ではない、嘲るような高笑いだ。不正にまみれた取引が、日没を合図にさらに活気づく気配。ハバククは深く息を吸い、その空気さえも重たく、淀んでいるように感じた。
「主よ。」
彼の口をついた言葉は、最初は風に散りそうな呟きだった。
「わたしが叫ぶのに、あなたは聞いておられない。どれほど叫べば。『暴虐』と。この言葉を、わたしは幾晩、あなたの耳に向かって投げつければよいのですか。」
彼は屋上の縁に手を置いた。石のざらついた冷たさが掌に伝わる。目の前には現実が、しっかりと、たちの悪い形を成して存在している。裁判官は賄賂に目がくらみ、正しい者は悪意の網に絡め取られて息もできない。律法は、強者たちの都合の良い飾り物にすぎない。彼はそれを見て、聞いて、感じて、もう何年も過ごしてきたのか。祈りは天の青石にぶつかって砕け、ただ粉々になって落ちてくるだけのように思えた。
「なぜ、あなたはわたしに悪を見させ、この悲惨をながめさせられるのですか。破壊と暴虐がわたしの前にあり、争いが起こり、いさかいが持ち上がっている。律法は力を失い、公義は全く実現しない。悪人が正しい人を取り囲む。それゆえ、公義は曲げられて実現する。」
彼の問いは、もはや静かな祈りではなかった。それは、胸の奥底から絞り出されるような、渇いた叫びに近かった。神の沈黙は、彼にとって、この町に満ちる不正の叫びよりも、さらに耐えがたい響きを持っていた。全能なる方が、なぜ、この小さな王国の腐敗を、ただ黙ってご覧になっているのか。契約の民の堕落を。彼には理解できなかった。愛であるならば、なぜ裁かないのか。義であるならば、なぜ手を下さないのか。
数日が過ぎた。ある暑い午後、ハバククは再びその屋上に立っていた。心は前と同じ問いでいっぱいだったが、そこに新しい感情、一種の諦めに似た疲労が加わっていた。その時、彼の中に、言葉が湧き上がってきた。それは彼自身の考えというより、外から注がれる強烈な「聞こえ」のようなものだった。それは、彼の予想をはるかに超える、恐ろしい形を取っていた。
声は言われた。
「あなたたちの中で起こっていることを見よ。驚くべきことを。
わたしは一つの事を行う。人が告げられても、信じないほどの事を。
見よ、わたしはカルデヤ人を起こす。彼らは、荒々しく、猛烈な国民で、地の広い所を進んで行き、自分たちの住まいではない他国の陣営を奪う。」
ハバククは息を呑んだ。カルデヤ人。それは、遠くユーフラテス川のほとりで勢いを増す、新興の強国。その戦士たちの噂は、商人たちの口を通じて、恐怖とともに届いていた。残忍で、速く、偶像崇拝に満ちた民。
声は続く。
「彼らは恐るべき、ものすごい者である。彼ら自身が自分の裁き、自分の威光を出す。その馬は豹よりも速く、夕暮れの狼よりも鋭い。騎兵は躍り進む。遠くから飛んで来る、わしが餌食を急ぐように。彼らはすべて暴虐を犯すために来る。その顔は東風のように前に進み、砂のようにとりこを集める。」
情景が、鮮やかに、そして残酷に、ハバククの心の目に焼きついた。砂塵を上げて疾走する戦車の群れ。太陽にきらめく青銅の兜。嘲笑を浮かべた兵士の顔。ユダの丘陵を蹂躙する無慈悲な軍隊の波。それは、彼が求めていた「裁き」であった。しかし、それはあまりにも恐ろしい形だった。腐敗した同胞を罰するために、神はなぜ、それ以上に邪悪で、神をも恐れぬ異邦の軍隊を道具として選ばれるのか。
「彼らは王たちをあざ笑い、君主たちを笑いものにする。すべてのとりでをあざ笑い、土を積み上げて、それを奪い取る。すると、彼らは風のように通り過ぎ、罰せられる。これらは自分の力を神とする者たちである。」
声はやんだ。しかし、その余韻は、ハバククの全身を震わせてやまなかった。彼は求めた。不正に対する裁きを。神の義の顕現を。しかし与えられた答えは、彼の想像を絶する破滅の預言だった。神は確かに動かれる。しかしその方法は、人間の理屈を遙かに超え、ほとんど残酷に思えるほどだった。
夕日がエルサレムの石壁を赤く染めていた。これまでと同じ穏やかな光景だ。しかしハバククの目には、もう同じ町は映らなかった。今この瞬間も、東の地平線の向こうで、歴史の歯車が回り始めている。神の沈黙は、沈黙ではなかった。それは、嵐の前の、重く張りつめた静寂に過ぎなかった。
彼は顔を上げた。空は深い藍色に変わりつつある。最初の星がまたたいている。その下で、自分がどれほど小さな存在か、そして神の道がどれほど測り難いかを、痛いほど感じた。彼の祈りは答えられた。しかし、その答えは、新しい、より深い問いを彼の魂に刻みつけただけだった。なぜ、純粋な悪をもって、相対的な悪を罰されるのか。なぜ、ご自身の民を、あの獣のような民の手に委ねられるのか。
風がそよぎ、彼の粗布の衣の端を揺らした。答えはまだない。いや、あるのはただ一つの恐るべき確信だけだ。神は生きておられる。そして、その業は始まろうとしている。ハバククは、この新しい重荷を抱え、闇に包まれていく都を見つめたまま、長い時間、立ち尽くしていた。




