エーゲ海の風が、オリーブの木々の葉をかすかに震わせる頃、港町の外れにたたずむ石造りの家に人々は集い始めていた。日が西に傾き、長い影が路地を覆う時刻である。中庭には、仕事を終えた男女が十数人、敷かれた敷物や粗末な木の腰掛けに身を寄せ合っていた。乾いた土の匂いと、どこからか漂う焙煎した麦の香りが混ざり合う。
エリアスは、壁際にぽつんと座り、手にした陶器の杯を眺めていた。杯の中の水は、ほとんど揺るがない。彼の心もまた、静かな渇きを覚えていた。三年になる。救い主の言葉を聞き、水に浸かり、兄弟たちとパンを裂いてから、もう三年だ。初めの熱情は、まるでこの地方の夏の激しい雨のように、心地よく身を洗い流してくれた。罪の赦し、癒し、来るべき世への希望——それらは鮮やかな色彩を持っていた。しかし今、彼の内側には、ある停滞が感じられる。朝晩の祈り、定期的な集会、困窮する兄弟へのわずかな施し。それらは大切な習慣ではあるが、なぜか砂の上に引いた線のようで、次の波が来れば消えてしまいそうな気がしてならない。
「エリアス、また一人で考え込んでいるね。」
柔らかな声がした。振り向くと、リディアが隣に腰を下ろしていた。彼女はかつて、この町で知られた紫色の布を商う者の未亡人だった。今はこの集まりの一人として、静かに奉仕を続けている。しかしエリアスは知っていた。数年前、彼女がひどく落胆し、ほとんど集会に顔を出さなくなった時期があったことを。理由は詳しく語らないが、何か深い失望があったのだろう。
「いや、ただ…少し疲れただけです」エリアスは曖昧に答えた。
「そうね。みな、疲れている。でも、マルコス長老の話を聞きに来たんでしょう?」
その名前を聞いて、人々のざわめきが少し静まった。部屋の奥から、背は高くないが、がっしりとした体格の男が進み出てきた。マルコスである。顔には深い皺が刻まれ、その目は、長い船旅を経た水夫のように、遠くを見据えているようだった。彼は羊皮紙の巻物を手にしていない。すべてを記憶に託して語る男だった。
「兄弟たち、姉妹たち」声は低く、しかし石壁に響く。「また、私たちはこの場所に集った。あなたがたの中には、遠くの村から歩いて来た者もいる。その労苦を覚えておる。」
マルコスの視線は、一人ひとりの顔をゆっくりと巡った。エリアスはその目が自分に止まるのを感じ、なぜか胸がざわついた。
「あなたがたは、既に多くのことを知っている。光について、暗闇からの脱出について。神の力ある業と、来るべき世のことを教えられてきた。悔い改めの基本、死んだ行いからの転回、神への信仰、さまざまな洗礼、手を置く儀式、死者の復活、永遠の審判——これらは、土台として据えられたものである。」
マルコスの言葉は、確かにエリアスが学び、慣れ親しんだ教えの数々だった。しかし長老の口調には、どこか緊迫した響きがあった。
「しかし…」マルコスは少し間を置き、深く息を吸った。「しかし、わたしはあえて言おう。私たちは、この土台を何度も何度も掘り返し、据え直すようなことをしてはならない。そこに留まっていてはならないのだ。」
庭にいた一人の男が、小さく咳払いした。風が少し強くなり、ランプの火が揺らめいた。
「土台は確かに重要だ。家を建てるには必要である。だが、土台の上には家が建てられねばならない。壁が立ち、屋根がかけられ、人が住まうのである。信仰にも、同じことが言える。」
エリアスは、杯の水に映る自分の顔を見つめた。土台…彼は確かに土台の上に立っているのだろうか。それとも、まだ土台を掘り下げているだけなのか。
マルコスの声が次第に力を増した。「もし、一度光を受け、天からの賜物を味わい、聖霊にあずかる者となり、神のすばらしいみことばと、来るべき世の力とを体験した後に、それでも堕落するならば——」
「堕落する」という言葉が、静かな庭に重く落ちた。リディアが微かに体を硬くするのを、エリアスは感じた。
「そういう者たちを、再び悔い改めに立ち返らせることは、誰にもできない。彼らは、神の子を自分たちのために再び十字架につけ、辱めているのである。」
エリアスは思わず息をのんだ。これほど厳しい言葉を、マルコスから聞いたことはあまりなかった。隣でリディアが、ほとんど聞き取れないほど小さな声で呟いた。「再び、十字架に…」
「それは、雨がたびたび降り注ぐ土地を譬えることができる」マルコスは続けた。「その土地が、人々のために役立つ作物を生み出せば、神の祝福を受ける。しかし、いばらとあざみしか生えなければ、それは呪われ、やがて焼かれるほかない。」
いばらとあざみ。エリアスの脳裏に、故郷の荒れ地がよみがえった。彼が少年の頃、耕すのを怠った畑は、すぐに鋭いとげだらけの雑草に覆われ、父は烈火のごとく怒ったものだ。根を抜くのは、ほとんど不可能だった。
沈黙が流れた。人々はそれぞれに、この言葉を自分の胸に受け止めているようだった。エリアスは、自分の中に、いばらが生え始めていないかと恐ろしくなった。あの停滞感、あの渇き——それは、実を結ばない土地の始まりなのか。
すると、マルコスの表情が、突然、深い温もりを帯びた。険しかった皺が、柔らかな影を作る。
「しかし、愛する者たちよ。あなたがたについて、わたしはそうではないと確信している。あなたがたは、もっと良いもの、救いに属するものを示してきた。」
彼の目が、再び座っている者たち一人ひとりをゆっくりと見渡した。その視線は、裁くためではなく、確かめるためのものだった。
「神は不正な方ではない。あなたがたが聖徒たちに仕え、今も仕えてくれている労苦と、御名のために示した愛とを、お忘れにならない。だからこそ、あなたがた一人ひとりが、最後まで希望を抱くために、同じ熱心さを示し続けることを、私たちは切に願っている。」
希望。エリアスはその言葉を胸の中で繰り返した。彼は希望を失ったわけではない。だが、それがどこか遠い、曖昧な約束のように感じられる時があった。
「そして、約束についてである」マルコスは声を潜め、まるで大切な秘密を打ち明けるかのように語り始めた。「神がアブラハムに約束されたとき、ご自身に誓うほかに、もっと確かなものはなかった。『わたしは必ずあなたを祝福し、あなたをふやす』と。人は自分より上の者にかけて誓う。それで、すべての論争は決着する。神は、ご自身に誓われた。『わたしは必ず祝福し、必ずふやす』と。この二つの不変のこと——神が偽ることができないことと、私たち逃れ場を持つ者たちがしっかりとつかんでいる強い励まし——によって、私たちは前へと押し出されるのだ。」
「不変のこと」。エリアスは、杯の水が微かに揺れるのを見つめた。水は変わらず、杯は変わらない。神の約束は、この杯のように、変わることのない器なのか。彼はこれまで、神の約言を、風に舞う木の葉のように、捉えどころのないものと感じることがあった。だが、マルコスは言う。神は「ご自身に誓われた」と。神にとって、それ以上に確かな保証はないのだ。
「この希望は、わたしたちの魂の錨である」マルコスの声は力強く、確信に満ちていた。「それは幕屋の内側まで入って行き、そこに留まる。イエスが、メルキゼデクの位にしたがって、永遠に大祭司となって、私たちに先立って入って行かれたのである。」
錨。エリアスは漁師だった父のことを思い出した。嵐の中、父は小さな舟から錨を降ろし、「これがあれば、流されはせん」と叫んだものだ。その錨は、見えない海底にしっかりとかかり、舟を守った。希望は錨なのだ。目に見えない至聖所にまで届き、しっかりと固定されている錨。それは、自分の中の感情や状況がどうであれ、確かに存在するものなのだ。
集会が終わり、人々が立ち上がって互いに挨拶を交わし始めた。エリアスはまだ座ったままでいた。リディアがそっと彼の肩に手を置いた。
「厳しい言葉だったわね」彼女は静かに言った。「あの時…私が遠ざかっていた時、まさに『再び悔い改めに立ち返らせることはできない』という言葉に、私は震え上がった。自分はもう、神の懐に戻る資格がないのかと。」
エリアスは彼女を見上げた。リディアの目には、深い悲しみと、それを超えた確かさが浮かんでいた。
「でも、マルコス長老が言ってくれたの。その警告は、土台を知りながら故意に背を向ける者へのものだ。私の心の荒れ地は…」彼女は言葉を探すように一息置いた。「雨は降り注いでいた。私がその雨を避け、土を固く閉ざしていただけなんだ。悔い改めとは、もう一度、心の土を鋤き起こすこと。そして、約言の種を受け入れることなんだと。」
彼女は微笑んだ。「だから、エリアス、あなたが考え込むのは悪いことじゃない。土台の上に、一石ずつ積み上げていく時なのかもしれない。急ぐ必要はない。でも、止まっていてはいけない。錨は、既に確かにあるんだから。」
人々が去り、ランプの灯が一つ、また一つと消されていく。エリアスは最後に中庭に残り、暗い空を見上げた。星々が瞬き始めていた。不変の光のように。
彼は自分の内側の渇きを、もう恐れていなかった。それは、乾いた土地が雨を求める叫びかもしれない。求め続けること。前に進もうとすること。それが、土台の上に家を建てることなのだと、彼はぼんやり思った。
風がまた吹き、オリーブの木々がさらさらと音を立てた。それは、単なる風の音ではなく、古くからの約言が、変わることなく響き渡っているように聞こえた。エリアスは、ゆっくりと立ち上がった。明日からも、この道を歩もう。錨のある道を。




