**コロサイ人への手紙1章に基づく物語**
エパフラスは、コロサイの町の小さな家の集会で、パウロから届いた手紙を朗読していた。ろうそくの炎が揺れ、人々の顔が柔らかな光に包まれる中、彼の声は力強く響いた。
「天にあるものも地にあるものも見えるものも見えないものも、すべてのものは御子にあって造られました。御子は万物よりも先に存在し、すべてのものは御子にあって成り立っているのです。」
集会にいた老いたユダヤ人、ニコデモは深く頷いた。彼はかつてエルサレムで、イエスと夜に語り合ったことを思い出していた。あの時、イエスは「人は新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない」と言われた。今、パウロの言葉を聞き、その意味がさらに深く心に刺さった。
一方、若い商人のリディアは、この教えに驚きを隠せなかった。彼女は異教の神々を信じて育ったが、キリストの福音を聞いて心動かされていた。「すべてのものがキリストにあって成り立っている…」と彼女はつぶやいた。「では、私が売っている布も、この町の市場も、遠い海の向こうの国々も、すべては御子と結びついているのか?」
エパフラスは続けた。
「神は、御子によってすべてのものをご自分と和解させ、地にあるものも天にあるものも、十字架の血によって平和を成し遂げられました。」
その言葉を聞いて、かつてローマの兵士だったマルコスは胸が熱くなった。彼は戦いで多くの血を見てきた。しかし、キリストの血は違った。それは人を殺すためではなく、生かすために流された。彼はうつむき、悔い改めの祈りをささげた。
集会の後、人々はそれぞれの家路についた。ニコデモは星空を見上げながら、神の知恵の深さに思いを馳せた。リディアは、翌日の市場で出会う人々に、この平和の福音をどう伝えようかと考えた。マルコスは、かつて敵だった者たちにも、キリストにある赦しを伝えたいと願った。
夜風がそよぐ中、コロサイの町は静かに包まれていた。しかし、彼らの心には、パウロの言葉が炎のように燃え続けていた。
「御子は見えない神のかたちであり、すべての造られたものより先に生まれた方です。すべてのものが、御子によって、御子のために造られました。御子は万物の前に存在し、万物は御子にあって成り立っています。」(コロサイ1:15-17)
この真理は、彼らの歩みを変え、この町の未来をも変えていくのだった。