聖書

「贖いの誓い 悔い改めと赦しの物語」

**贖いの誓い**

荒野の風が静かに吹き抜ける中、イスラエルの民は幕屋の周りに集まっていた。太陽が砂漠の地平線に沈み始め、黄金の光が祭司アロンの白い亜麻の衣を照らしていた。彼の額には、主の聖なる印が刻まれた金の板が輝いている。その日、民の一人、ヨシュアという名の男が心の重荷を抱えて幕屋の前に進み出た。

数日前、ヨシュアは隣人との約束を破ってしまった。彼は友人から借りた銀の杯を壊してしまい、それを隠していた。最初は小さな過ちと思えたが、夜ごと良心が彼を責め立てた。主の律法が心に響く。「もし、人が…隠してしまうなら、その人は罪を犯したことを認めなければならない」(レビ記5:1-5)。

ヨシュアは震える手で胸に触れた。彼の罪は、単なる過失ではなく、神の前に隠し事をした不誠実さだった。主は隠れた罪をも見通される。ついに彼は決意し、祭司の前にひざまずいた。

「アロン様、私は主と人との前に罪を犯しました」

アロンは深く頷き、静かに言った。「主は悔い改める心を喜ばれる。贖いの供え物を携えて来なさい。」

ヨシュアは家に戻り、最も健康な雌羊を選んだ。その毛並みは雪のように白く、欠け目のないものだった。彼は羊を抱き、再び幕屋へと向かった。祭司の前に羊が連れられると、アロンは手を羊の頭に置き、ヨシュアの罪を告白した。一瞬、羊が無言で罪を背負うかのように静まり返った。

そして、鋭いナイフの一閃。血が祭壇の角に塗られ、残りは土の器に注がれた。肉は切り分けられ、主へのささげものとして火の中に投じられた。煙が天に昇り、甘い香りが周囲に広がる。ヨシュアは目を閉じ、罪の重荷が取り除かれるのを感じた。

アロンは彼に言った。「主はあなたの悔い改めを受け入れられた。心に留めず、再び主の道を歩みなさい。」

ヨシュアは深く頭を下げ、涙が頬を伝った。彼はもう隠し事をしないと決意した。主の律法は厳しいが、そこには赦しと新しい歩みへの招きがあった。

夕闇が訪れる中、祭壇の火はまだ赤々と燃えていた。それは、主の聖なる義と、罪人を愛する慈しみの両方を映し出していた。民は静かに祈り、主の教えの深さに思いを馳せた。

こうして、イスラエルの民は、罪と贖いの意味を学び、主の前に正しく歩むことを覚えたのだった。

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