**ヨシュア記4章:約束の石の物語**
荒れ狂うヨルダン川の水が、神の力によってせき止められたその日、イスラエルの民はついに約束の地へと足を踏み入れた。主がヨシュアに語られた通り、祭司たちが契約の箱を担いで川の中に立つと、水は上流で壁のように立ちはだかり、民は乾いた川床を渡ることができた。この奇跡を永遠に覚えるため、神はヨシュアに一つの命令を与えられた。
「民の中から十二人を選び、ヨルダン川の真ん中、祭司たちの立っている場所から石を取らせなさい。それをあなたたちが今夜宿営する場所に運び、記念としなさい。」
ヨシュアはすぐに十二部族の代表を集め、主の言葉を伝えた。男たちは川床に降り、大きな石を掘り起こした。石は冷たく、川底の泥の匂いがした。彼らはそれを肩に担ぎ、祭司たちの目の前を通り、東の岸へと向かった。その背後では、契約の箱を担いだ祭司たちが静かに立ち続けていた。
民が全員渡り終えると、ヨシュアは祭司たちに合図を送った。彼らが川から上がると、たちまちヨルダン川の水が轟音とともに流れ始め、元の深い流れに戻った。その光景を見た民は、主の力に畏れを抱き、心から賛美した。
ヨシュアはギルガルの宿営地に十二の石を積み上げ、全イスラエルを集めて言った。
「これらの石は、主があなたがたの前でヨルダン川の水をせき止められた証拠である。後の時代の者たちがこの石を見て、『これは何の意味か』と尋ねたとき、あなたがたはこう答えなさい。『イスラエルが乾いた地を渡ったように、主はヨルダン川の水をせき止められた。これは、主の力がすべての地に知られるためである。』」
石は静かに、しかし力強く、神の約束の確かさを語り続けた。子どもたちはその周りで遊び、長老たちはかつての奇跡を語り継いだ。主が共におられたことを、イスラエルは決して忘れなかった。
こうして、ヨシュアは神の命令に従い、エリコの平野にあるギルガルに十二の石を据えた。それは、ただの記念碑ではなく、生ける神の約束を刻む、信仰のしるしであった。