聖書

「アサ王の過ちとハナニの警告」

**アサの過ちと預言者ハナニの警告**

ユダの王アサの治世第三十六年のことだった。北のイスラエル王国では、バシャ王がユダに対する敵意を燃やし、ラマの町を要塞化していた。ラマはユダの国境に近く、バシャの狙いは明らかだった。彼はこの拠点からユダに攻め込もうとしていたのだ。

アサ王はこの知らせを聞くと、心に激しい不安が湧き上がった。かつて彼は、エチオピアの百万の大軍を前にしても、主に信頼し、勝利を収めた(歴代誌下14:9-12)。しかし、今回は違った。彼は主の助けを求めず、代わりにダマスコの王ベン・ハダデのもとに使者を送り、金銀の財宝を贈って同盟を結んだ。

「父王アブヤとあなたの父の間には同盟があった。今、バシャが私に敵対している。どうか、あなたの軍を送ってイスラエルを攻撃させ、私を救ってほしい。」

ベン・ハダデはアサの願いを聞き入れ、イスラエルの北の町々を攻め、イヨン、ダン、アベル・マイム、そしてナフタリのすべての倉庫の町を打った。バシャはこれを聞き、ラマの建設を中止せざるを得なかった。アサは勝利したかに見えた。彼はユダとベニヤミンの人々を召集し、ラマの資材を運び出し、それを用いてゲバとミツパの町を強化した。

しかし、この勝利は主の目にかなうものではなかった。

**預言者ハナニの糾弾**

ある日、主の預言者ハナニがアサ王の前に立ち、こう宣言した。

「王よ、あなたはアラムの王に頼り、あなたの神、主に信頼しませんでした。そのため、アラムの軍勢はあなたの手から逃れました。エチオピア人とリビア人の大軍は、戦車と騎兵に満ちていましたが、あなたが主に依り頼んだとき、主は彼らをあなたの手に渡されました。主の目は、ご自分に全き信頼を寄せる者たちを見回し、彼らを力づけるために走り回っておられるのです。しかし、あなたはこのことを愚かにも行い、今後、戦いがあなたに臨むでしょう。」

アサ王はこの言葉に激怒した。彼はハナニを捕らえ、牢に投じた。さらに、このとき民の中から主に従う者たちを虐げた。

**アサの終わり**

時が経ち、アサの足に重い病気が臨んだ。その痛みは激しく、床に伏せる日々が続いた。しかし、彼はこの病の中でも主に助けを求めず、医者だけに頼った。

そして、アサの治世第四十一年、彼は息を引き取った。民は彼のために盛大な葬儀を行い、ダビデの町に掘られた彼の墓に葬った。彼は香をたくために特別に作られた寝台に横たえられ、多くの香料と共に安置された。

アサは長い間、ユダを治め、多くの良い業を行った。若い日には心から主に従い、偶像を国から取り除いた(歴代誌下14:2-5)。しかし、晩年には驕りが生じ、主よりも人間の力を頼るようになった。彼の過ちは、神の警告を聞かず、かえって預言者を迫害したことだった。

こうして、アサの物語は、信仰と不信仰の狭間で揺れ動く人間の姿を浮き彫りにした。主は常にご自分を求める者を見守り、助けを与えられる方である。しかし、主を退ける者には、戦いと苦しみが待っているのだ。

**教訓**

「主はご自分に向かって心を尽くす者を見て、彼らを力づけられる。」(歴代誌下16:9)

アサの生涯は、この御言葉の真実を私たちに示す。初めは信仰に堅く立っていた王も、終わりには人の知恵に頼り、神の預言者さえも拒んだ。私たちは、どんな時にも主に信頼し、その導きを求める者でありたい。なぜなら、主こそが真の勝利と平安を与えてくださる方だからである。

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