**詩篇129編に基づく物語：苦難からの解放**

昔、イスラエルの民は長い間、数え切れないほどの苦しみと迫害に耐えてきた。彼らはエジプトの奴隷として虐げられ、バビロンの捕囚として故郷を追われ、異国の者たちから嘲られ、打ちのめされてきた。しかし、彼らの信仰は揺るがず、主への信頼は決して消えることがなかった。

ある日、エルサレムの丘の上で、一人の年老いた祭司が集まった民に向かって詩篇129編を歌い始めた。

**「彼らは私の若い時から、しばしば私を苦しめてきた。しかし、彼らは私に勝つことができなかった。」**

祭司の声は震えていたが、力強く響き渡った。彼は続けて語った。

「覚えているだろうか、我々の先祖がエジプトで過越の夜を迎えた時のことを。ファラオの軍勢が追いかけてきたが、主は紅海を二つに分け、我々を救い出してくださった。敵の戦車と馬は深い海の底に沈み、二度と我々を苦しめることはなかった。」

集まった人々は深くうなずき、過去の神の救いを思い起こした。

**「彼らは耕す者が畑を耕すように、私の背中を耕した。」**

祭司は背中に残る古い傷跡を指さした。それはバビロンでの捕囚時代、敵の鞭によって刻まれたものだった。

「確かに、我々は深く傷つけられた。しかし、主は不正な者の手を折り、我々を守ってくださった。バビロンは滅び、我々は再びこの地に帰ることが許されたのだ。」

人々の中から、若い羊飼いが声を上げた。
「でも、今でも周りの国々は我々を脅かしています。どうすれば良いのでしょうか？」

祭司は静かに微笑み、詩篇の最後を力強く宣言した。

**「どうか、シオンのすべての敵が恥を見るように。彼らを枯れ草のようにされよ。屋根の上で育っても、根を張らず、刈り取る者もなく、束ねる者もない草のように。通りすがりの者も、『主の祝福があなたがたの上にあるように』と言わないように。」**

「主は正しい方だ。悪しき者が繁栄するように見えても、その栄えは一時に過ぎない。やがて彼らは枯れ草のように消え去り、主に従う者たちは永遠に守られる。」

人々は祈りを捧げ、主への信頼を新たにした。彼らは、たとえ今が苦しみの時であっても、主が必ず救いをもたらしてくださると確信した。

そして、夜が明ける頃、エルサレムの城壁の上に朝日が差し込んだ。それは、新しい希望の光だった。主の民は、再び立ち上がり、信仰をもって歩み始めたのである。

**「主に感謝せよ。主は正しく、その慈しみはとこしえまで。」**