**伝道者の書12章に基づく物語：黄金の日々の終わり**

年老いた賢者コヘレトは、エルサレムの丘の上に座り、遠くに沈む夕日を眺めていた。彼の白いひげは風に揺れ、深く刻まれた皺は長い年月の重みを物語っていた。かつては力強く歩んだ足も、今は杖にすがらなければ立つことも難しい。彼は静かに目を閉じ、人生の終わりが近づいていることを悟った。

「若い日に、あなたの創造者を覚えよ。」

コヘレトの心に、かつて自分が書き記した言葉がよみがえった。彼は遠い昔を思い出した。若き日、彼は王としての栄華を極め、知恵を求め、この世のあらゆる快楽を味わった。しかし、すべては「空の空、すべては空」であった。

**1 銀の鎖は切れ、金の器は砕け、水がめは泉のほとりで破れる。**

彼の目に、かつて輝いていた宮殿の様子が浮かんだ。銀の装飾は錆び、金の杯は割れ、かつては清らかな水を満たしていた陶器の水がめも、今は粉々に砕け散っていた。すべての富と栄華は、時の流れの中で色あせ、消え去るのだ。

**2 光を放つものは暗くなり、窓から覗く目はかすむ。**

彼の視界は次第にぼやけていった。かつては鋭く物事を見通せた彼の目も、今では薄暗がりの中を手探りで進むようになっていた。宮殿の窓から差し込んでいた陽光も、今は夕闇に飲まれ、部屋は深い影に包まれていた。

**3 門の番人は震え、力ある男はかがみ、粉をひく女たちは少なくなり、窓から覗く者たちは暗くなる。**

街の様子も変わっていた。かつては威風堂々と門を守っていた兵士たちも、今は老いて膝を震わせている。力自慢の男たちも、腰を曲げ、歩くのがやっとだった。粉をひく女たちの笑い声は聞こえず、代わりに寂しさが街を覆っていた。

**4 彼らは高い音を恐れ、道端の恐怖に怯え、あんずの花は咲き、いなごは身重になり、欲望は消えていく。人は永遠の家へと赴き、泣き悲しむ者が通りを巡る。**

コヘレトは、かつては何も恐れなかった自分が、今では小さな物音にも驚くようになったことを知った。道を歩けば、かつては気にも留めなかった影さえもが脅威に感じられた。春にはあんずの花が咲き、いなごが跳ね回るが、彼の心にはもう若い頃の情熱はなかった。

そして、ついに永遠の家——墓——の時が近づいていた。人々は彼のために泣き、葬列が通る道には悲しみが満ちていた。

**5-6 銀の鎖は切れ、金の器は砕け、水がめは泉のほとりで破れ、車輪は井戸の上で砕ける。ちりはもとのように地に帰り、霊はこれを授けた神に帰る。**

コヘレトは静かに息を引き取った。彼の体は大地に還り、彼の霊は創造主である神のもとへと帰っていった。

**7 ちりはもとのように地に帰り、霊はこれを授けた神に帰る。**

彼の最期の言葉は、彼が生涯を通して伝えた真理を要約していた。

「すべての事が聞かれたところによれば、結局はこうだ。神を恐れ、その命令を守れ。これは人間にとってすべてのことである。神はすべてのわざ、すべての隠れた事を、善であれ悪であれ、さばかれるからだ。」

こうして、知恵に満ちたコヘレトの生涯は幕を閉じた。彼の言葉は、後の世代へと受け継がれ、人々に真の知恵——神を畏れ、その御心に従って生きることの大切さ——を伝え続けたのである。