聖書

「神の怒りとエルサレムの嘆き:哀歌第2章」

**哀歌 第2章:神の怒りとエルサレムの悲嘆**

エルサレムの街は、かつての栄光を失い、深い悲しみに包まれていた。主の激しい怒りが、錫安の娘の上に注がれたのだ。天から降り注ぐ神の裁きは、まるで暗雲が太陽を覆い隠すかのように、すべての喜びを奪い去った。

主は、ご自身の栄光の住まいである神殿を見捨て、その聖なる場所を敵の手に渡された。かつては神の臨在で満ちていた至聖所さえも、今は異邦人の嘲笑の的となっていた。主は、契約の箱が安置されていた場所を忘れ、ご自身の民に対する慈しみを退けられた。

敵は、エルサレムの城壁を打ち破り、砦をことごとく破壊した。兵士たちは剣に倒れ、王と祭司たちは、助けを求めて叫んでも、もはや答えはなかった。主は、燃えるような怒りをもって、イスラエルの力となっていたすべてのものを滅ぼされた。

街路には、飢えに苦しむ子供たちが倒れていた。幼子たちは母親に「食べ物はないのか」と尋ねるが、母親には与えるパンがなかった。彼らはついに路上で息絶え、母の腕の中で冷たくなっていった。哀れな母たちは、我が子を埋葬することさえできず、野犬や空の鳥の餌食となるのをただ見守るしかなかった。

預言者たちは、もはや幻を見ず、偽りの慰めしか語らなかった。祭司たちは、血にまみれ、汚れた衣をまとって、神殿の廃墟に立ち尽くしていた。長老たちは地にひれ伏し、塵の中に顔を伏せて泣いた。若い娘たちは、頭を垂れ、苦悩に沈んでいた。

「主よ、なぜ私たちを見捨てられたのですか?」
「錫安の娘の苦しみを、いつまでご覧になるのですか?」

かつては賛美で満ちていたエルサレムの広場は、今や嘆きの声だけが響いていた。祭りの日には喜びに沸いていた場所も、今は敵の笑い声がこだまするのみ。主は、祭りの時期を忘れ、安息日を退けられた。もはや、聖なる礼拝は捧げられず、香の煙も立ち上らなかった。

エルサレムの城壁は赤く染まり、石は血でぬれていた。しかし、主の怒りはまだ消えず、炎は燃え続けていた。裁きは、雨のように降り注ぎ、止むことを知らなかった。

「主よ、思い出してください。私たちが耐えているこの苦しみを。」
「私たちの魂は、地に打ちひしがれています。」

しかし、主は沈黙された。

かつては「麗しき都」と呼ばれたエルサレムは、今や廃墟と化し、野犬がほえる荒れ果てた地となった。祭司も、預言者も、王も、もはや何もできなかった。すべては、主の御手の中にあった。

そして、夜が更けると、ただ一つだけ聞こえるものがあった。
それは、風に運ばれる、母親たちの泣き声だった。

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