**エゼキエル書29章に基づく物語：エジプトへの裁きの預言**

かつて、バビロンの捕囚の地で、預言者エゼキエルは神の言葉を受けた。それは、エジプトとその王ファラオに対する厳しい裁きの宣告であった。エゼキエルの心は重く、彼の目には神の怒りが燃える炎のように映った。

**神の言葉が臨む**

ある日、エゼキエルはケバル川のほとりで、同胞たちと共に祈りをささげていた。突然、天が開け、神の臨在が彼を包んだ。主の声は雷のように響いた。

「人の子よ、あなたの顔をエジプトの王ファラオに向け、彼とエジプト全体に対して預言せよ。」

エゼキエルはひれ伏し、神の言葉に耳を傾けた。

**エジプトの驕りに対する裁き**

主はこう語られた。

「エジプトの王ファラオよ、見よ、わたしはお前に立ち向かう。お前はナイル川に横たわる巨大な竜のように、『この川はわたしのもの、わたしがこれを造った』と誇り、自分を神のように思っている。しかし、わたしはお前の顎に鉤をかけ、お前を川から引きずり出し、お前とすべての魚を荒野に投げ捨てる。お前は地に倒れ、だれにも拾われず、埋められず、野の獣と空の鳥の餌となる。こうして、すべての民は、わたしが主であることを知るようになる。」

エゼキエルの声は震えながらも力強く、神の言葉を民に伝えた。彼の言葉は鋭く、聞く者たちの心を刺した。

**エジプトの荒廃の預言**

主はさらに続けられた。

「エジプトは荒れ果てた地となる。ナイル川の水は涸れ、地はからからに乾く。かつて豊かな穀倉地帯であった地は、廃墟と化し、そこに住む者たちは離散する。彼らは40年の間、諸国に散らされ、捕囚の民となる。その後、わたしは彼らを再び集めるが、彼らはもはやかつての栄光を取り戻すことはない。彼らは弱い王国となり、再び他の国々の上に立つことはない。」

エゼキエルはこの預言を聞き、エジプトの運命に胸を痛めた。しかし、神の正義は揺るぎないものであった。

**バビロンによるエジプトの罰**

主はエゼキエルに、バビロンの王ネブカドネザルが神の道具として用いられることを示した。

「見よ、わたしはバビロンの王ネブカドネザルに、エジプトの富を与える。彼はエジプトを略奪し、その地を荒らす。これは、エジプトがイスラエルの家にとって、葦の杖のように頼りにならず、かえって彼らを傷つけた報いである。彼らがイスラエルに信頼を置かせ、結局は彼らを裏切ったからだ。」

エゼキエルはこの言葉を民に伝え、神の裁きが正しいことを悟った。

**預言の成就と神の主権**

エゼキエルは最後に、神の主権を宣言した。

「主なる神はこう言われる。わたしがエジプトを荒廃に陥れる時、すべての民は、わたしが主であることを知る。わたしの言葉は必ず成就し、わたしの時は遅れることがない。」

こうして、エゼキエルは神のメッセージを忠実に語り終えた。彼の言葉は、神の正義と恵みが常に働いていることを民に思い起こさせた。

**結び**

エゼキエルは静かに祈りをささげた。神の裁きは厳しいが、それは民が悔い改め、真の神に立ち返るためのものであった。彼は、神の計画がすべての国々に及び、最終的には神の栄光が現されることを信じた。

こうして、エジプトに対する裁きの預言は、歴史の中で成就していくのであった。