聖書

「民数記21章:青銅の蛇と神の救いの物語」

**民数記21章:青銅の蛇と神の救い**

荒野の太陽が灼熱の光を降り注ぐ中、イスラエルの民は長い旅路に疲れ果てていた。彼らはエドムの地を迂回しなければならず、荒れ果てた道を進むことに不平を募らせていた。

「なぜ私たちをエジプトから連れ出したのか!」
「この荒野で飢えと渇きに苦しむためか!」
「マナにはもう飽きた。こんな食べ物は見たくもない!」

人々のつぶやきは日に日に激しくなり、ついに神とモーセに対する公然たる反抗となった。彼らは神が与えてくださった恵みを忘れ、不満だけを口にしていた。

### **燃える蛇の裁き**

神の怒りはついに臨んだ。

ある朝、荒野に恐ろしい光景が広がった。炎のように赤く輝く蛇が無数に現れ、人々の間に滑り込んだ。その牙には猛毒があり、噛まれた者は激しい痛みに襲われ、次々と倒れていった。

「助けてくれ!」
「神よ、私たちを赦してください!」

人々は恐怖に震え、ついに自らの罪を認めた。彼らはモーセのもとに駆け寄り、叫んだ。

「私たちは主とあなたに対して罪を犯しました。どうか、蛇を取り除いてくださるよう、主に祈ってください!」

### **青銅の蛇の救い**

モーセは民のために祈った。すると、主は彼にこう命じられた。

「炎の蛇を造り、それを旗竿の先に掲げよ。噛まれた者でも、その蛇を仰ぎ見る者は生きる。」

モーセはすぐに青銅で一つの蛇を造り、それを高い所に掲げた。すると、不思議なことが起こった。毒蛇に噛まれて死にかけていた者たちが、その青銅の蛇を一心に見上げると、たちまち痛みが消え、命を取り戻したのである。

「見よ、主の救いだ!」
「信じて仰ぎ見る者は、癒される!」

人々は神の奇跡に驚嘆し、悔い改めの心を持って主を崇めた。

### **約束の地へ向かって**

この出来事の後、イスラエルの民は再び進軍を開始した。彼らは荒野を越え、オボテ、モアブの野を通り、やがてヨルダン川の東にあるピスガの山のふもとに到着した。

主は彼らに勝利を与え、アモリ人の王シホンやバシャンの王オグを打ち破らせた。こうして、イスラエルは約束の地へ一歩一歩近づいていった。

### **信仰の教訓**

青銅の蛇は、後にイエス・キリストが十字架で成し遂げる救いの予表となった。

「モーセが荒野で蛇を上げたように、人の子も上げられなければならない。それは、信じる者がすべて、彼によって永遠の命を得るためである。」(ヨハネ3:14-15)

イスラエルの民は、ただ信じて仰ぎ見るだけで救われた。同じように、私たちもキリストを信じる信仰によって、罪の毒から解放され、永遠の命に至るのである。

こうして、民数記21章は、神の裁きと赦し、そして信仰による救いの深い真理を私たちに教えている。

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