聖書

「イザヤ書第3章:裁きと希望の預言」

**イザヤ書第3章に基づく物語:裁きと希望の預言**

ユダの都エルサレムは、かつて栄華を極めた町であった。ソロモン王の時代には黄金が輝き、神殿の香りが街中に満ちていた。しかし、時は流れ、人々の心は神から遠ざかり、傲慢と不義がはびこるようになった。主の目に、この町の罪はもはや覆い隠せないほどに積み重なっていた。

ある夕暮れ、預言者イザヤは神の声を聞いた。それは雷のように力強く、また悲しみに満ちた声であった。

**「見よ、わたしはエルサレムとユダから、すべての支えを取り去る。糧と水、勇士と戦士、裁判官と預言者、占い師と長老……すべてを奪い去る。」**

イザヤの心は震えた。神の裁きが近づいている。彼はすぐに人々の前に立ち、神の言葉を語り始めた。

「主はこう言われる。『お前たちは高慢になり、貧しい者を虐げ、孤児や寡婦の叫びを無視した。富を蓄え、虚飾にふけり、神を忘れた。それゆえ、わたしはお前たちの誇るものをすべて粉々にする。』」

人々はイザヤの言葉を聞いても、耳を傾けようとしなかった。裕福な女たちは宝石を身にまとい、高慢に街を歩き回っていた。

「お前たちの美しさは腐っていく。香り高い油は悪臭に変わり、華やかな衣はぼろきれとなる。男たちは戦いで倒れ、町は廃墟となる。」

イザヤの言葉は鋭く、まるで剣のように人々の心を刺した。しかし、彼らは悔い改めようとせず、かえって預言者を嘲った。

「お前は何者だ? なぜ我々に災いを預言するのか?」

イザヤは静かに答えた。

「わたしは主の声を伝える者にすぎない。お前たちが神に背いたからこそ、この裁きが訪れる。しかし、主は憐れみ深い方だ。悔い改める者には、必ず救いの道を開かれる。」

やがて、預言の通り、ユダは混乱に陥った。指導者たちは無能となり、若者が傲慢に振る舞い、民は互いに争い合った。戦争が起こり、敵国が攻め込んでくる。エルサレムの美しさは失われ、人々は恐怖に震えた。

しかし、その暗闇の中でも、神は真実を求める者を見捨てなかった。イザヤは残された信仰深い者たちに語りかけた。

「主は正しい者を守られる。たとえ国が滅びようとも、神に従う者には希望がある。やがて、主は新しい芽を出し、真の平和をもたらされる。」

こうして、イザヤの言葉は裁きと同時に、将来の救いを約束する希望の光となった。神の正義は確かであり、その慈しみは永遠に続くのである。

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