聖書

「聖なる火の掟と贖いの儀式」

**聖なる火の掟**

荒野の風が幕屋の周りを静かに吹き抜ける中、イスラエルの民は神の御言葉に耳を傾けていた。モーセは祭司アロンとその子らを集め、主から授かった新しい掟を伝えた。

「焼き尽くす献げ物に関する掟はこうである。祭壇の上の火は絶やしてはならない。朝ごとに祭司は新しい薪をくべ、その上に整えた献げ物を置き、脂肪の部分を燃やして主にささげねばならない。」

アロンは深くうなずき、その重い責任を胸に刻んだ。祭壇の火は神聖なものであり、たとえ夜が明けようとも、消えることがあってはならなかった。なぜなら、それは主との契約のしるしであり、民の罪の贖いを表していたからである。

「もし罪の献げ物をささげる時は、聖なる場所で屠り、その血を祭壇の周りに注がなければならない。脂肪と腎臓、そして肝臓の小葉はすべて主のものとして燃やしなさい。」

祭司たちは細心の注意を払い、一切の手順を踏まなければならなかった。間違いがあれば、それは神への冒涜とみなされる。アロンの次男エルアザルは、父の指示に従い、献げ物の皮や肉を宿営の外に運び、清めの火で焼いた。灰が風に舞い上がり、民の罪がきよめられる象徴となった。

「穀物の献げ物においては、祭司はオリーブ油を混ぜた小麦粉を取って焼き、主への芳ばしい香りとしなければならない。残りはアロンとその子らに与えられるが、それは最も聖なるものであり、種を入れたパン種で焼いてはならない。」

民は神の律法の細部に驚嘆した。すべてが秩序立てられ、神と人との関係が保たれるように定められていた。祭司たちの衣は献げ物の血や油で汚れるが、それこそが彼らの務めの証であった。

「油を注がれた祭司が罪を犯した時は、傷のない雄牛を贖罪の献げ物としてささげねばならない。」

アロンは自らの弱さを思い、ひざまずいて祈った。祭司であっても、完全ではない。だからこそ、贖いが必要なのだ。祭壇の火はゆらめき、神の臨在を感じさせた。

こうして、イスラエルの民は主の掟に従い、聖なる火を絶やさず、罪の赦しと神との交わりを保ち続けた。荒野の旅路において、この火は彼らの信仰の灯となり、約束の地へと導く神の御手を確信させるものとなったのである。

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