**エレミヤ書23章に基づく物語**
ユダの王たちが神の道から遠く離れ、民を迷わせていた時代。エルサレムの街は不義と欺きに満ち、祭司たちは神の言葉ではなく、自分たちの欲望に従って教えを説いていた。そのような暗闇の時代に、預言者エレミヤは神からの重い言葉を託される。
### **偽りの牧者たちへの裁き**
ある夕暮れ、エレミヤはオリーブの木が風に揺れる丘の上で祈っていた。すると、突然、神の声が彼の心に響いた。
**「わが民を散らす牧者たちは災いだ。彼らは羊の群れを養わず、かえって追い散らしている。」**
エレミヤは身震いした。神の怒りは、民を導くはずの王や祭司たちに向けられていた。彼らは神の律法を無視し、富と権力を求めて不正を行い、弱い者たちを虐げていた。神はこう宣言された。
**「見よ、わたしはお前たちの悪い行いを罰する。散らされたわたしの群れを、わたし自ら集め、良い牧者を与えよう。」**
エレミヤの目には、遠い未来に現れる「正しい若枝」——神がダビデの家に起こされる真の王——の幻が示された。その方は公平と正義をもって国を治め、民は安らかに住むようになる。
### **偽預言者たちの欺き**
しかし、その希望の約束とは対照的に、エルサレムには偽りの預言者たちがはびこっていた。彼らは「主はこう言われる」と偽り、自分たちの夢を神の啓示のように語り、民を惑わしていた。
ある日、エレミヤは神殿の庭で、一人の偽預言者が群衆に向かって叫んでいるのを耳にした。
**「平安だ、平安だ! 主はこの都を決して滅ぼされない!」**
人々は安堵の表情を浮かべたが、エレミヤの心は痛んだ。神は既に、民の背きのゆえにバビロンによる裁きを宣告しておられた。彼は進み出て、声を張り上げた。
**「主は言われる。『わたしが遣わさなかった預言者は、偽りの夢を語る。彼らは何の役にも立たない。わたしの言葉を聞かず、勝手に語る者たちを、わたしは罰する。』」**
群衆は騒然となった。ある者はエレミヤを無視し、ある者は怒りを露わにした。しかし、エレミヤは怯まなかった。
### **神の真実の言葉**
偽預言者たちは、自分たちの都合の良い預言を語り、人々の耳をくすぐった。しかし、神の言葉は火のようであり、岩を打ち砕く鎚のようであった。
**「わたしの言葉を心に留める者は、真実を知る。偽りを語る者は、永遠の辱めを受ける。」**
エレミヤは孤独だった。彼の語る裁きの言葉は、人々に受け入れられなかった。しかし、彼は神に従い続けた。なぜなら、彼は知っていたからだ——神の約束は決して空しくはならないことを。
やがて、バビロンの軍勢がエルサレムに迫り、偽りの平安を叫んだ者たちは滅びた。しかし、神の約束は残った。
**「見よ、わたしがダビデのために一つの正しい若枝を起こす日が来る。彼は王として治め、この国に真の知恵と正義をもたらす。」**
エレミヤは、遠い未来に現れる救い主を信じて、暗闇の中でも希望を捨てずに歩み続けた。神の言葉は必ず実現する——それが彼の確信だった。
(終わり)