**出エジプト記36章に基づく物語**
モーセが神から授かった幕屋建設の命令は、イスラエルの民全体を神聖な使命へと駆り立てた。ベツァルエルとオホリアブは、神から特別な知恵と技能を授けられた工匠として、この壮大な仕事を指揮することとなった。彼らは心を一つにし、神の御心を成し遂げるために全力を注いだ。
朝もやがまだ立ち込める中、ベツァルエルは幕屋の設計図を広げ、細かな指示を仲間たちに語り始めた。彼の声は静かながらも力強く、神の御言葉が彼を通して流れ出るようだった。「主が命じられた通りに、聖なる幕屋を建てよう。一つの釘、一つの糸も、神の御旨に従わなければならない」
民はこぞって献げ物を持ち寄った。金、銀、青銅、織物、獣の皮、香料、油——彼らの心からの奉納物は日に日に増え、ついにはあまりあるほどの量となった。女たちは巧みな手つきで糸を紡ぎ、男たちは貴重な材木を運び入れた。老人も若者も、それぞれができる限りの力を尽くした。
「もう十分だ。これ以上、献げ物を持って来る必要はない」
ついにモーセが宣言すると、民は驚きと喜びに包まれた。彼らの心がどれほど熱く燃えていたかが、この言葉からも明らかだった。神への愛と従順が、彼らを動かしていたのだ。
ベツァルエルとオホリアブは、選ばれた職人たちと共に作業に取りかかった。金を打ち延ばして板を作り、銀で鉢や燭台の台座を鋳造した。青銅は祭壇の材料となった。彼らの手は神の霊に導かれ、一つ一つの作業が驚くべき正確さで進められた。
幕屋の幕は、撚り糸で織られた亜麻布に、青、紫、緋色の糸でケルビムが精巧に刺繍された。一枚一枚が芸術品のようで、風に揺れるたびに神の栄光が輝き出るようだった。
そしてついに、幕屋のすべての部品が完成した。ベツァルエルは静かに目を閉じ、神に感謝をささげた。「主よ、あなたの御心のままに、すべてが整いました」
この日、イスラエルの民は、神が共におられることの確かなしるしを見た。幕屋は単なる建造物ではなく、神と人とが交わる聖なる場所——彼らの信仰の中心となったのである。
こうして、神の民は心を一つにし、御言葉に従い、その労苦が祝福された。それは、真の奉仕とは何かを示す、永遠に語り継がれるべき物語であった。