**コロサイ人への手紙 第3章に基づく物語**
**タイトル:新しい人として生きる**
エパフラスがコロサイの教会に届けたパウロの手紙は、信徒たちの間で静かに読み上げられていた。夜風が窓からそっと入り込み、ともしびの炎がゆらめく中、人々は神の言葉に耳を傾けていた。
「あなたがたは、キリストと共によみがえられたのだから、上にあるものを求めなさい。そこでは、キリストが神の右の座に着いておられます。」
若い農夫のマルコスは、この言葉を聞きながら、自分の心を見つめた。彼は以前、怒りやすく、些細なことで兄弟と争っていた。しかし、パウロの言葉は彼の心に深く刺さった。
**古き人の行いを脱ぎ捨てる**
手紙は続いた。
「だから、地上の肢体、すなわち、不品行、汚れ、情欲、悪い欲、そして貪欲を捨てなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。」
マルコスは思わず自分の手を見た。その手は、かつては隣人の畑から作物を盗むために使われたことがあった。しかし今、彼は恥じた。彼は心の中で祈った。「主よ、私を清めてください。この古い行いを脱ぎ捨て、新しい人として歩めるように。」
教会の片隅で、リディアという女性も深くうなずいていた。彼女は以前、噂話や悪意ある言葉で人を傷つけていた。しかし、パウロの言葉が彼女の胸を打った。
「あなたがたは、怒り、憤り、悪意、そしり、口から出る恥ずべき言葉を捨てなさい。互いに偽りを言ってはなりません。あなたがたは古い人とその行いとを脱ぎ捨て、新しい人を着たのです。」
リディアは涙をこぼした。彼女は隣に座る女性にそっと手を伸ばし、「許してください」とささやいた。その女性は驚いたが、やがて微笑み、彼女を抱きしめた。
**新しい人としての歩み**
手紙はさらに語りかけた。
「こういうわけで、神に選ばれた者、聖なる、愛されている者として、あなたがたは深い同情心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。」
教会の指導者であるニコデモは、この言葉を聞きながら、自分がどれだけ人を裁いてきたかを思い出した。彼は以前、罪を犯した信徒を厳しく責めた。しかし今、パウロの言葉が彼の心を変えた。
「互いに忍び合い、もしだれかがほかの人に対して不満を持っているなら、互いに赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたもそうしなさい。」
ニコデモはその夜、かつて傷つけた兄弟の家を訪ね、赦しを請う決心をした。
**愛によって結ばれる**
そして、手紙は最高潮に達した。
「これらいっさいのものの上に、愛を着なさい。愛は結びの帯として完全なものです。」
マルコス、リディア、ニコデモ、そして教会のすべての人々は、この言葉に心を打たれた。彼らは互いに顔を見合わせ、静かに祈りを捧げた。ともしびの光が彼らの顔を優しく照らし、まるで聖霊の炎が一つに結ばれるかのようだった。
**結び**
その日から、コロサイの教会は変わった。人々は互いに赦し合い、愛をもって仕え合った。マルコスは隣人と和解し、リディアは優しい言葉で人を励ます者となり、ニコデモは寛容な指導者として教会を導いた。
パウロの言葉は、彼らの心に深く根を下ろし、新しい人としての歩みを確かなものにした。
「キリストの平和が、あなたがたの心を支配するように。」
夜明けの光が窓から差し込む頃、彼らは静かに祈りを終え、互いに抱き合いながら、新たな一日を歩み始めた。
(終わり)