聖書

ネヘミヤの信仰と城壁再建の戦い

**ネヘミヤの信仰と敵の脅迫**

ユダの地、エルサレム。廃墟と化した城壁の周囲には、瓦礫が散らばり、焼け焦げた木材が転がっていた。かつて栄えた都は、バビロンによる破壊から長い年月が経っても、まだ癒えていなかった。しかし、その荒れ果てた光景の中に、ひとりの男の祈りが響いていた。

ネヘミヤは、ペルシャの王アルタシャスタの献酌官として仕えていたが、故郷エルサレムの悲惨な状況を聞き、深く心を痛めていた。神に祈り、王の許可を得て、ついにエルサレムへと帰還した。彼の使命は明確だった——神の都の城壁を再建し、民の心を奮い立たせることである。

工事は始まった。祭司たちも、商人たちも、農民たちも、皆が一丸となって石を積み、木材を運んだ。しかし、その働きは敵の目に留まった。サマリヤの総督サンバラト、アンモン人のトビヤ、そしてアラビア人たちは、ユダヤ人の結束を快く思わず、嘲りと脅しをもって工事を妨害しようとした。

「お前たちが何をしているのか? 狐一匹乗せたら崩れ落ちるような城壁を建てようというのか?」サンバラトは大声で笑い、部下たちと共に工事現場を囲んだ。

ネヘミヤは動じなかった。彼は神に目を注ぎ、民に向かって言った。「彼らを恐れるな。主は大いなる方、恐るべき方である。我らのために戦ってくださる!」

しかし、敵の脅威は増すばかりだった。サンバラトとその仲間たちは、ユダヤ人を襲撃する計画を練り、工事を阻止しようとした。ネヘミヤは、この危機に備え、民を武装させた。石を運ぶ者も、材木を削る者も、片手には武器を握り、常に警戒を怠らなかった。

「我らの神が我らを守ってくださる。しかし、我らも自らを守るのだ!」ネヘミヤは民を励まし、夜通し見張りを立てた。

ある夜、敵が密かに攻め込もうとした時、ネヘミヤはすぐに警報を発し、民を集めた。彼らは武器を手にし、城壁の上に立ち並んだ。敵は、ユダヤ人の結束と警戒の固さを見て、攻撃を断念せざるを得なかった。

こうして、神の助けとネヘミヤの指導力のもと、工事は進められた。民は、片手で働き、片手で武器を握り、決して恐れることなく前進した。城壁は徐々に高くなり、ついに完成の日を迎えた。

「我らの働きは神の御手によって成し遂げられた!」ネヘミヤは喜びの祈りをささげ、民と共に神を賛美した。敵の脅しも、嘲りも、もはや彼らを揺るがすことはなかった。神が共におられることを知っていたからである。

この物語は、神に信頼し、困難に立ち向かう者の勝利を語っている。ネヘミヤの信仰と勇気は、現代を生きる私たちにも、同じように神の導きを求める力を与えてくれるのである。

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