**聖書物語:レビ記10章「ナダブとアビフの裁き」**
燃えるような太陽がシナイの荒野を照らす中、神の民イスラエルは、聖なる幕屋の周りに集まっていた。モーセとアロンは、つい先日、神の栄光が火をもって祭壇を焼き尽くすのを見たばかりであった。人々は畏れに震え、主の御前でひれ伏していた。神の臨在はあまりにも聖く、あまりにも力強く、祭司たちは細心の注意を払って仕えなければならなかった。
その日、アロンの息子たちであるナダブとアビフは、祭司としての務めを果たすため、香を盛った火皿を手に取った。彼らは若く、熱心であったが、父アロンや叔父モーセが何度も語った神の命令を軽んじていた。主ははっきりと命じられていた。「祭壇の火は、常に燃やし続けなければならない。それは主が与えた聖なる火であり、ほかの火を使ってはならない」と。
しかし、ナダブとアビフは、神が定めた方法を無視し、自分たちで火を起こし、香をたいた。それは「異なる火」——主が命じられなかった方法であった。彼らの心は、おそらく高ぶり、あるいは軽率さに満ちていた。彼らは、神の聖さを侮り、自分たちの方法で仕えようとしたのだ。
すると突然、天から激しい炎が迸り、ナダブとアビフを包み込んだ。彼らは叫ぶ間もなく、神の前で焼き尽くされた。聖なる神の怒りは、彼らの不従順を裁かれたのである。聖所の中に横たわる二人の遺体——かつては栄えある祭司の務めを担う者たちであったが、今は神の聖さの前で滅びた者となっていた。
モーセはすぐにアロンに語った。「主がこう言われた。『わたしの前に近づく者たちは、わたしを聖なる者としなければならない。わたしの栄光をすべての民の前に現す』と。」アロンは沈黙した。彼の心は痛みで引き裂かれるようだったが、神の裁きの正しさを否定することはできなかった。
モーセは、ナダブとアビフの遺体を幕屋の外に運ぶよう命じ、彼らの祭司の衣を引き裂かなかった。それは、彼らが神の油注がれた者たちであったからだ。そして、アロンと残りの息子たち、エルアザルとイタマルには、悲しみにふけることなく、祭司としての務めを続けるように言った。「主の定められたとおりに仕えよ。さもなければ、あなたがたも滅びるだろう。」
民はこれを見て、神の前で震え上がった。主は聖なる方であり、ご自身に仕える者たちに完全な従順を求めることを、彼らは悟ったのである。
この出来事の後、主はアロンにさらに語りかけられた。「あなたとあなたの子らは、聖所に入るとき、ぶどう酒や強い飲み物を飲んではならない。それは、あなたがたが聖なるものと俗なるもの、清いものと汚れたものを区別し、イスラエルの人々にわたしの定めを教えるためである。」
こうして、ナダブとアビフの死は、すべての祭司とイスラエルの民への厳粛な警告となった。神に近づくことは、決して軽々しい行為ではなく、深い畏れと従順をもってなされるべきものであった。主の聖さは、決して侮られるべきではなかった。
そして、アロンと残りの息子たちは、この裁きを通して、神の前に正しく歩むことを学んだ。彼らは、主の命令を忠実に守り、民を教え導く者として、その務めを果たしていったのである。
こうして、イスラエルの民は、神の聖さと裁きの現実を胸に刻み、主の道を歩むことを決意したのだった。