**創世記15章:アブラムとの契約**
日の沈みかけた頃、アブラムは天幕の入口に立ち、遠く広がる砂漠を眺めていた。空は深紅に染まり、砂丘の影が長く伸びていた。主の言葉が再び彼の心に響いた。
「アブラムよ、恐れるな。わたしはあなたの盾である。あなたの報いは非常に大きいであろう。」
アブラムは胸に湧き上がる疑問を抑えきれず、顔を伏せて答えた。
「主なる神よ、わたしに何をくださるというのでしょうか。わたしには子がなく、家の相続人はダマスコのエリエゼルでございます。」
風がそよぎ、砂が舞い上がる中、主の声はさらに力強く響いた。
「その者があなたの跡を継ぐのではなく、あなた自身から生まれる者が、あなたの跡を継ぐのだ。」
そして、主はアブラムを天幕の外に導き、満天の星を指し示された。
「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。あなたの子孫はこのようになる。」
アブラムは夜空を見上げ、無数のきらめく星々を目にした。その光は神の約束の確かさを静かに語りかけているようだった。彼は心から主を信じ、その信仰が彼の義と認められた。
しかし、アブラムはなおも尋ねた。
「主よ、わたしがこの地を受け継ぐことを、どのようにして知ることができるでしょうか。」
すると、主は彼に命じられた。
「三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、若鳩とをわたしのもとに連れてきなさい。」
アブラムは急いでこれらの動物を整え、それぞれを二つに切り裂き、その半分を互いに向かい合わせて並べた。しかし、鳥は裂かなかった。やがて、猛禽が死肉を奪おうと降りてきたが、アブラムはそれを追い払った。
日が沈み、深い闇が地を覆うと、アブラムは深い眠りに落ちた。その時、大きな恐れと暗やみが彼を襲った。すると、主の声が再び聞こえた。
「よく覚えておくがよい。あなたの子孫は異国の地で寄留者となり、四百年の間、奴隷として苦しめられるであろう。しかし、わたしは彼らを裁く国民を罰し、その後、彼らは多くの財産を携えてこの地に帰ってくる。」
やがて、燃えるたいまつの炎が、裂かれた動物の間を通り過ぎた。それは神ご自身の臨在を示すしるしであった。その時、主はアブラムと契約を結び、宣言された。
「あなたの子孫に、この地を与える。エジプトの川から、あの大川ユーフラテスまで。」
こうして、アブラムは神の約束を心に刻み、その信仰によって、後の世代への祝福の礎が築かれたのである。