聖書

「ダビデ王の賛美と神の慈しみの物語」

**詩篇145に基づく物語:王の賛美の物語**

ある日のこと、エルサレムの王宮では、ダビデ王が朝早くから神への賛美をささげていた。東の空がほんのりと明るくなり始める頃、王は静かにひざまずき、深い感謝と喜びをもって神の御名をたたえていた。

「偉大なる主よ。あなたはまことにほめたたえられるべき方。その御名は永遠に賛美されますように。」

ダビデの心は、神の限りない慈しみと力に満ちていた。彼は幼い頃から羊飼いとして、また戦士として、そして今は王として、神の御業を数え切れないほど目にしてきた。獅子や熊から羊を守った時も、巨人ゴリアテを倒した時も、敵の手から逃れた時も、すべては神の御手によるものだった。

王は宮廷の書記官を呼び、こう命じた。
「今日から、主の恵みと力を民に伝えるために、新しい詩を記録せよ。主の慈しみはすべての被造物に及び、その御業は人の子らに知れ渡るべきである。」

書記官は羊皮紙を広げ、王の言葉を書き留めた。

**「主は恵み深く、あわれみに満ち、怒るのに遅く、慈しみは大きい。主はすべてのものに善を施し、そのあわれみはすべての造られたものの上にある。」**

ダビデは窓から外を見渡した。エルサレムの町はゆっくりと目覚めつつあった。市場では商人たちが品物を並べ始め、子供たちが道を駆け回り、祭司たちが神殿へと向かっていた。すべての民の生活の中に、神の恵みが満ちている。王はその光景を見て、さらに賛美を続けた。

**「主よ、あなたの造られたものはすべて、あなたに感謝し、あなたの聖徒たちはあなたをほめたたえる。彼らはあなたの国の栄光を語り、あなたの力あるみわざを告げ知らせる。」**

その日、王は宮廷の者たちを集め、神の御業を語り始めた。
「私が若き日に野で羊を飼っていた時、主は私を守り、導かれた。敵に囲まれた時も、主は私を助け、勝利を与えてくださった。主の約束は真実であり、倒れそうな者を支え、飢えた者に食物を与えてくださる。」

廷臣たちは真剣に耳を傾けた。ダビデの言葉は、単なる過去の思い出ではなく、今も生きて働く神の力を証しするものだった。

夕暮れ時、王は再び祈りにひざまずいた。太陽が西の山に沈み、空が深紅に染まる中、彼の声は静かに響いた。
**「主はすべての求める者に近く、真実をもって呼び求める者に近くおられる。主を畏れる者の願いをかなえ、彼らの叫びを聞き、救ってくださる。主はすべてご自分を愛する者を守られる。」**

その夜、エルサレムの町には平穏が訪れた。王の賛美は民の心にも広がり、人々は互いに神の恵みを語り合った。

そして、月が高く昇った頃、ダビデは最後の祈りをささげた。
**「私の口は主の誉れを語り、すべての肉なる者は、とこしえにその聖なる御名をほめたたえるように。」**

こうして、王の賛美は世代を超えて語り継がれ、神の慈しみと力は永遠に覚えられるのだった。

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