聖書

「鍛えられる友情 エリシャとヨナタンの物語」

**鍛えられる友情**

ある晴れた朝、ヨルダン川のほとりの小さな村で、二人の青年が話し込んでいた。一人はエリシャという知恵深い若者、もう一人はヨナタンという熱心だが短気な青年だった。二人は幼い頃から一緒に育ち、兄弟のように固い絆で結ばれていた。

「ヨナタン、お前の畑を見てきたが、小麦の育ちが悪いようだな」とエリシャが言った。

ヨナタンは眉をひそめ、「確かに害虫が増えている。でも、どうすればいいかわからない」と答えた。

エリシャは黙って地面にしゃがみ込み、土を指でつまんだ。「この土は固すぎる。水はけも悪い。まずは土を耕し、肥やしを混ぜる必要がある」

ヨナタンはため息をつき、「でも、そんなことをする時間がない。早く収穫したいんだ」と焦りを見せた。

エリシャは彼の肩に手を置き、「『鉄は鉄によって研がれ、人は友によって磨かれる』(箴言27:17)という言葉がある。お前の畑も、手をかければ必ず良くなる。私が手伝おう」

ヨナタンは一瞬驚いたが、やがて顔をほころばせた。「ありがとう、エリシャ。お前の言葉はいつも私の心を強くする」

それから二人は朝から晩まで畑を耕し、土を柔らかくし、肥やしを混ぜた。ヨナタンの腕は疲れで震えたが、エリシャの励ましがあればこそ、彼は諦めずに働き続けることができた。

数週間後、畑は見違えるほど豊かになった。小麦は青々と茂り、風に揺れるたびに黄金の波のように輝いた。ヨナタンは感激し、「エリシャ、お前の助けがなければ、この豊かな実りはなかった」と声を震わせた。

エリシャは微笑み、「いや、お前自身が努力したからだ。しかし、神は私たちに友を与え、互いを高め合うように導かれる。真の友は、甘い言葉だけを語る者ではなく、時には厳しい忠告もする者だ」と語った。

その夜、二人は畑のそばで焚き火を囲み、神の恵みに感謝した。炎が夜空に舞い上がる中、ヨナタンは心から祈った。「主よ、私にエリシャのような真の友を与えてくださり、感謝します。彼の言葉は時に痛くても、私を成長させてくれました」

そして、二人の友情はさらに深まり、彼らは村の人々にも「互いに忠告し合い、愛をもって真実を語ること」の大切さを教えるようになった。

こうして、神の知恵に従う者たちの間には、鍛えられ、磨かれた絆が生まれ、彼らの信仰はますます強められていったのである。

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