荒野の砂塵が舞い上がる中、二百五十人の者たちが集まっていた。その中心に立つのはレビ族のコラ、そしてルベン族のダタンとアビラム、さらにオンであった。日差しが砂岩を照りつける昼下がり、彼らの影は不気味に長く伸びていた。
「我々は皆、聖なる民ではないか」コラの声は渇ききった大地のようにひび割れていた。「なぜモーセとアロンだけが特別なのか」
その言葉は、長い旅路に疲れた民の心に、静かに染み渡っていった。荒野の生活は苛烈だった。昼は灼熱の太陽、夜は肌を刺す寒さ。約束の地はまだ見えず、毎日同じマナを食べ続ける日々。そんな中で育った不満が、今、滾り始めていた。
モーセはその知らせを聞くと、顔を地面に伏せた。彼の肩には、無数の民を導く重責がのしかかっていた。しばらくして顔を上げると、彼の目には深い悲しみが宿っていた。
「明日の朝」モーセの声は静かだが、確かな意志に満ちていた。「主がご自身の聖なる者を示される。コラ、お前とその仲間全員が香炉を取って、主の前に進み出よ」
その夜、ダタンとアビラムの天幕の前では、不穏な空気が流れていた。彼らはモーセの招きを頑なに拒んだ。「我々をエジプトから連れ出しておいて、今さら荒野で死なせようというのか」その嘲笑の声は、砂丘を越えてモーセのもとに届いた。
夜明け前、空が薄明るみ始めた頃、会見の天幕の前に人々が集まり始めた。コラとその仲間たちは銀の香炉を手に、得意げな表情を浮かべていた。一方、モーセとアロンは深い憂いをたたえた目で彼らを見つめていた。
突然、栄光の雲が会見の天幕を覆った。民全体から恐怖の叫びが上がる中、主の声がモーセとアロンに告げられた。「この会衆から離れよ。今、彼らを滅ぼそう」
モーセはひざまずいて叫んだ。「全能の神よ、一人の罪のために全会衆をお怒りになりますか」
すると大地がうなり始めた。最初はかすかな振動だったが、次第に激しさを増していった。コラが立っている地面に亀裂が走り、その裂け目はみるみる広がっていった。土砂が崩れ落ち、叫び声が上がる。あっという間に、コラとその仲間たち、そして彼らに属するすべてのものが、深い闇に飲み込まれていった。
同時に、天から火が降り注ぎ、香を捧げていた二百五十人を焼き尽くした。青銅の香炉だけが、変形しながらも地上に残された。
その直後、民全体から不平の声が湧き上がった。「あなた方が主の民を殺した」その非難はモーセとアロンに向けられていた。
再び栄光の雲が現れ、疫病が民の中に広がり始めた。アロンはモーセの指示で急いで香炉を取り、生きている者と死んでいる者の間に立った。彼が香を焚くと、疫病は止んだ。だが、既に一万四千七百人もの命が失われていた。
次の日、主は十二部族の首领たちの杖を集めるよう命じられた。それぞれの名が記された杖は、聖所に置かれた。翌朝、アロンの杖だけが芽を吹き、花を咲かせ、アーモンドの実を結んでいた。それは静かな、しかし圧倒的な証しだった。主ご自身がアロンを選ばれたという。
人々は震えながらその杖を見つめた。アロンの杖はその後、契約の箱の前に置かれ、永遠のしるしとされた。
荒野の風が吹き抜ける中、モーセは遠くを見つめていた。選びと裁き、恵みと審判――その深遠な意味を思いつつ。砂丘の向こうから、かすかに民の歩む音が聞こえてくる。約束の地へと続く、果てしない旅路の足音であった。




